DAY 27
来る日も来る日も、メアト達はベレスに優しくしてくれました。
ベレス自身もほんの少し馴染んで来たのか自然と恐怖は和らいで、楽しみや探究心がより強くなっていきました。
そして勉学の中で、メアト達が暮らす国の事も少し分かってきたのです。
パソンレイズンという名前の小さな国、昔から伝統として伝えられているメタミ騎士団は勇者がパソンレイズンを訪れた時に結成された。
メタミ騎士団の着る鎧や兜は特別な鉱石で作られており魔族の攻撃を物ともしない、他国の中でも一際強固な代物。いつしかそれは逸話となって、数百年の年月を経ても語り継がれており、文献としても記録が残っている。
これらを読んだベレスは早速メアト達にその事を話してみると、更に自分達について話してくれました。
メアト達は騎士団と名乗りはすれど、実際は自警団という団体で活動しており、魔族が殆ど居ない今では王の警護、街の見回り、賊の出入り等、簡単な仕事のみこなしているのだと聞かされました。
そして今でも鎧を脱がないのは、今もなお語り継がれる自国の伝説をいつまでも伝えていく為だそう。
一通り話を聞けて満足したベレスは更に知識を深めようと、次の本に手を伸ばそうとしましたが後ろからガンドゥに呼び止められてしまいました。ちょっと膨れっ面になるベレスですが、仕方なくガンドゥに着いて行きました。
ガンドゥの呼びかけがある時は決まって傷の治療です。貴族の館で受けた背中の傷や、義賊に折られた角を看てくれているのですが、角を看られる時は少し嫌な気持ちになります。
少しでも綺麗に生えるようにと道具を使って角の細かい部分を削るのですが、ベレスにはそれが耐えられないようで、終わる頃にはいつも顔をくしゃくしゃにしてガンドゥから早く離れたがります。
魔族にとって角は繊細な部分なので、触られるだけでも不快な気持ちになってしまうようです。
ベレスは角を押さえながら、今日はもう眠ろうと寝室に戻るのでした。
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