第14話 幸せな王子様


 ジャックは意識を取り戻し、女神は死神化を無事回避。

 ハクロと赤松も、思わぬ臨時収入を得てホクホクだ。


 みんなに笑顔が浮かんで、めでたしめでたし。

 あ、一人忘れてた。



「ああ、美しい女神よ。私は何も落としていない。私自身が落ちてしまったのだ、恋という名の深い沼に……」


「じゃかぁしわ、ボケ! ちょい黙っとれ!」

(訳:あらまあ、騒がしい殿方ですこと。少しお静かになさいませ。男性のおしゃべりは、あまり好まれませんことよ、オホホホホ)


 王子のなけなしの名誉のために弁明しておくと、彼はただのKYなアホではない。


 ここで彼女が物語のヒロイン的ポジションなら、相互一目惚れシステムが適応されて、問答無用で両想いになるはずだったのだ。


 たとえ相手が鬼畜ドS王子であっても、他人をかたって不法侵入してきた放蕩ほうとう王子であっても、はたまた仮死・昏睡状態にある女性にイタズラする変態王子であっても、このシステムは有効である。


 だが残念なことに、そういうポジションじゃなかった女神には、魔法はかからなかった。




 最終問題。泉の底に落ちたのは、何色の何!?

――――――――――

(A) 金の斧

(B) 銀の斧

(C) 金の鞠

(D) 銀の鞠

(E) 金色に輝く王子の尊厳

(F) 無色透明のオチ

(G) その他(     )

――――――――――


※落とし物を拾ったら、持ち主に返却するか警察に届けましょう。誘導尋問によって嘘をつかせ、それを根拠に横領するのはたとえ神であっても許されません。


~第二章・泉の女神 おわり~


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