第8話
その日【青薔薇館】に、シオン殿下とクリスティン様が視察に来られたのだそうです。
この度、クリスティン様がロピアー公爵家を継ぐ事になった為、秘書官を辞される事になりましたので、次の秘書官をスカウトする為だったそうですわ。
そこで白羽の矢が立ったのが、文官科三年で生徒会長のフランツ先輩。
先輩は高等部入学式で、平民で初めて新入生代表を務めたたいへん優秀な方です。
(ナルキス入学時)
生徒会室で話し合いをされていたところに、突然
『自分は【聖女】だ!』
『私が虐げられているのは、高位貴族の悪役令嬢達の陰謀だ!』
『攻略対象なのにどうして私に惚れないのよ!?』
などと、訴えていらしたとか……
既に【偽聖女】として【指名手配】がかかっていましたので、すぐに第四騎師団が呼ばれ逮捕されたそうですけど。
そう言えば第四騎士団の取り調べで、変な事を言っていたそうですわ。
『こんなのシナリオに無い!』
『なんで設定と全然違うのよー!』
『【聖女】の私が罰を受けるなんてありえない!
神罰が当たるわよ!』
『何で…何でなのよ?!何の為に、ここに転移して来たのか解らないじゃない!
こんな事になるなんて、攻略本にも書いてなかったじゃない!』
『私がこのゲームのヒロインなのに!』
と、訳の分からない事を必死になってずっと言っていたとか。
その話を聞いた、いつものお茶会メンバーの皆さまは……
シノン様談
「何それ?ボク、高位貴族じゃないし!」
キイナ様談
「【悪役令嬢】などと、芝居じゃあるまいし。
どちらかと言えば向こうの方が……。」
ターク様談
「攻略対象とか何かの芝居のつもりだったのかな?」
エリー様談
「う~ん…婚約者のいる男性や複数の方を籠絡しようとするなんて、まともな女性がする事では、ありませんわね。
しかも【聖女】だなんて、【身分詐称】してまで……。」
そうですわよね!
誰かお一人がお相手で、婚約者がいないならまだ、解らなくもないですけど(それでも【身分詐称】は、良く有りませんが)。
複数人の高位貴族や見目の良い男性に対して、検討違いの事を言い続けたり、とかいったい何がしたかったのでしょうか?
「「「「「こちらから言わせてもらえば、お前の(あなたの)方が悪役です!」」」」」
#第四__※1__#騎士団の取り調べの後、あの方は何処かの鉱山に奴隷として、連れて行かれたとか……
キイナ様曰く、「女性で鉱山奴隷だと、無事に戻って来れる可能性は0だろう。」だそうですわ。
怖いですわね。
その数日後、エリー様が新作小説を発表されました。
タイトルは【
内容は、ほぼ今回の件をあの方視点で書いた荒唐無稽な物語ですわね。
でも、まさかこの本が後に、我がユイナーダ王国や他国の御令嬢を自称ヒロインの脅威からましてや国や民を守る防波堤の一助になるなんて、この時の
まぁ、それはずっと後になってからのお話ですけど……
―――――――――――――――――
※1
サーラ達は、ユミコが本当はどうなったか知りません。
※2
普通ならヒロインハッピーエンドで終わる話がエリーが書くとヒロインの所為でその後、国が崩壊します。
第一部終了
おまけの話しを書きました。
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