惑星に響く

くりすてる

プロローグ

 真っ白い世界。地面も空も見渡す限り全てが白い。

この世界で僕は走り続けている。意味も分からずただただがむしゃらに。多分、夢を見ているのだろう。夢だと理解しながらその世界に浸ることは何回かあるけど、ここまではっきりとした視界で見ることは初めてだ。息を荒くして、迫りくる何かから逃げているかのような圧迫感。けれど、走ること自体はとても高揚感があっていつまでも走っていたい。そんな不思議な気持ち。ふと上の方を見ると人が立っていた。200メートルくらい先。最初は浮かんでいるのかと思ったけれど、よく眼を凝らして見ると白い塔の上に立っていた。東京タワーくらいの、けっこうな大きさの塔だけれど、周りの景色と色が同化していてすぐには分からなかった。


「あんなところで何して‥」そう言いかけた瞬間。


その人が消えた。あまりに一瞬の出来事でよく分からなかった。飛び降りたのかもしれないし、違うかもしれない。飛び降りたとしてもどうせ夢の中だし。そう思いながらもがむしゃらに塔を目指して走り続ける。

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