第25話 跪いてお舐めよ?
「ふぅっ……、あん……」
「……あの、その悩まし気な声、やめてくれませんか?」
僕は指圧の手を一旦止め、ため息を吐く。
「……だって、これは仕方ないわ。本当にこんなに気持ち良いだなんて、思わなかったもの」
流石、伊万里先輩のお母様なだけあって、仕草が一々エロい……
こんなのを毎日見せられている旦那さんは、さぞ幸せなんだろうな~(棒読み)
「それは、ありがとうございます。家族にも評判だったので一応自信はあったんですが、これで確信がもてた気がします」
「これならお店でもやっていける腕前よ? 藤馬君の親御さんが羨ましいわぁ……」
「小鞠さんがそれを言ったら色々な方面から怒られますよ?」
「あら? どうしてかしら?」
どうしても何も、あんな完璧な娘さんがいるのに他所の家の子を羨むとか、ねぇ?
逆の立場なら、ウチの親だって伊万里さんみたいな娘が欲しかったと言い出すに決まっている。
「それより、僕のできる指圧はこんな所です。何かアドバイスってありますか?」
こうしてマッサージを受けて貰ったのは、まず僕の実力がどの程度か小鞠さんに知ってもらうためであった。
反応から察するに悪い評価はされないと思うのだが、やはり感想は気になるところである。
「ほぼ完璧ね。人に合わせて力加減もできているみたいだし、何よりタッチが優しくて私好み。とても素敵だったわ」
妖艶に笑いながら、小鞠さんが僕の顎をくすぐってくる。
ゾクゾクとした感覚が走り、勝手に背筋がピンとなってしまった。
「それじゃあ今度は私の番。そこに寝そべって頂戴。やりながら色々とアドバイスしてあげるわね」
「……わかりました」
少し身の危険を感じだが、アドバイスを貰えるのであれば素直に従うほかない。
僕は言われるがままにベッドに寝そべる。
(あ、凄く良い匂い……、って僕は何を考えているんだ!)
寝そべった瞬間、ほのかに香ってきた甘い香りに思わず息を大きく吸い込んでしまった。
これではまるで変態である。
「ふふ♪ じゃあ、始めるわね」
そう言って小鞠さんは、僕の肩甲骨辺りを親指で刺激してくる。
心地良い刺激が筋肉を柔らかにほぐしていき、なんとも言えない快感が背中に走る。
「どう? もう少し強くしても大丈夫?」
「は、はい、むしろもう少し強い方が……」
「わかった。もうすこし強くするわね?」
言葉の通り、背中への圧力が強くなる。
肩甲骨周りから腰の方まで順に降りていく感触がなんとも心地いい。
(これは、極楽だな……)
今まではやる側だったけど、される側になってみるのも中々良いものである。
純粋に気持ち良いというのもあるが、どうすればもっと気持ちよくなるかなど、実体験から学ぶことができるからだ。
「私もあの子も、胸が大きいでしょう? だから、この辺とかが特にこり易いのよ」
「べ、勉強に、なります……」
「僧帽筋もだけど、大胸筋もやっぱり結構疲労するから、あの子のもこうしてほぐしてあげてね♪」
「っっっ!? それは、ちょっと、流石に……」
大胸筋は、もう完全に胸そのものである。
僕がそれをほぐそうとすると、必然的に伊万里先輩のオッパイを揉むことになるので、非常にマズいことになる。
そういうのは、その、もっと大人になってからじゃないとダメだと思います……
「さっ、こんな所にしておきましょうか」
およそ20分程のマッサージで、驚くほど体が軽くなったような気がする。
なるほど、これはウチの両親もリピートしてくるワケだと納得してしまった。
「あの、今度はまた、僕の方からやってみても良いですか?」
「あら、それはむしろ嬉しいくらいだけど、良いの?」
「はい。こっちについてもアドバイス頂けたらと思いまして」
「こっちって、足?」
「はい。この前、色々あって伊万里先輩にはできず終いだったんですけど……」
本当であれば、この足裏マッサージも伊万里先輩には体験して貰う予定だったのだが、例のアレコレでできなかったのである。
丁度良い機会なので、小鞠さんに意見を貰いながら練度を上げてしまおう。
「じゃあ、お願いするけど、なんだか恥ずかしいわね……」
確かに今の構図は、ベッドにこしかける小鞠さんに跪き、足を持っているような体勢である。
見ようによっては、足にキスでもする直前のように見えなくもない。
「ただいま、マイハニー! ……っ!? これは、どういうことだい!?」
そんな最悪なタイミングで、伊万里先輩のお父さんらしき人が帰ってきてしまった……
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