第22話 先輩達と映画館で……
そんなこんなで、僕達は映画館へとやって来ていた。
「ふむふむ、今日はこれを見るんだね?」
「はい。
「内容はわからないが、確かに雰囲気的には面白そうだ」
麻沙美先輩はそう返しながらポスターのキャスト一覧をまじまじと見ている。
僕はキャッチコピーなどを見てみたが、正直内容が想像できなかった。
「なんだか、いかにもB級って感じの映画ですね」
「
「いえ、実はそういう映画ってあまり見たことがなくて……。
「私も全然見たことなかったんですけど、1年生の頃に麻沙美先輩に誘われて見に行ってから、すっかりハマってしまって」
麻沙美先輩の趣味だったのか……
そう聞くだけで少し勘ぐってしまうのは、僕が疑り深いせいだろうか……
「懐かしいなぁ。ああ……、あの頃の伊万里は
何それ、僕も超見たかったんですが……
「いいから、早く入りましょう。ポップコーンとかも買っておきたいですし」
「……そうですね。入りましょうか」
初心な伊万里先輩のことを詳しく聞きたかったが、それはまた今度でもいいだろう……
………………………………
………………………
………………
席は、当たり前のように僕が真ん中に座ることになった。
その上わざわざ二人して寄っかかってくるものだから、開幕からドキドキである。
(こんな所クラスメートに見られたら、刺し殺されかねないな……)
僕ら以外にこんなマイナーそうな映画を見に来る高校生はいないだろうけど、少しだけ心配である。
「始まりますよ!」
伊万里先輩が小声でありながらもはしゃいだ様子で声をあげる。
その表情が可愛すぎて顔を緩めていたら、反対から麻沙美先輩がグイグイとこちらを引っ張ってくる。
「せっかくの映画なんだ。そっちばかり見てないで、画面に集中しような?」
ごもっともである。
僕は煩悩を振り払いつつ、映画に集中することにした。
「「「………」」」
意外と言っては失礼かもしれないが、二人とも集中して映画を見ている様子であった。
確かに内容も面白いし、僕も楽しめているのだが、ある程度覚悟をしていた割に二人の攻撃がないので拍子抜けもしていた。
「っと」
そう思った直後、麻沙美先輩がポップコーンのカップを床に落としてしまった。
もうほとんど入っていなかったようだが、少し悔しそうにしている。
「僕のをあげましょうか?」
僕のポップコーンはまだ半分ほど残っていたが、そこまで食欲もないし、あげてもいいだろう。
「……いいのかな?」
「はい、どうぞ」
僕が自分のポップコーンを渡そうとすると、麻沙美先輩は手でそれを制してくる。
そして、自分の口を指さして、あーんと口を開けた。
「っっっ!?」
その仕草が凄まじく、こう、エロくて……、僕の心拍数は一気に上昇してしまう。
少し気を緩めていたので、完全に不意打ち状態であった。
「……」
僕は無言で拒否の意思を示すが、先輩はあーんをやめようとしない。
これではまるで僕がお預けをしているようで、非常に気まずい。
……仕方ないので、僕は麻沙美先輩のあーんに応えることにした。
「……はい」
ポップコーンを口元に近付けると、麻沙美先輩は「はむ」と小さく声をだしてポップコーンを口に含んだ。
……僕の、指ごと。
「☆#$%&wっ!?」
しっとりと暖かな粘膜の感触に包まれてしまった僕の指。
その指の表面を、柔らかな舌が蠢き、絡みつくように這っていく。
凄まじい快感が走り、僕は完全にオーバーヒート状態になってしまった。
よく声を上げなかったと自分を褒めたいくらいだが、先輩の攻めはまだ続いている。油断はできない。
麻沙美先輩の唇が、音をたてないように密閉され、吸着してくる。
舌が、爪の間や関節のくぼみをねっとりと刺激し、時折柔らかく歯をたて、噛んできた。
最後に小さくちゅぽんという音をたて、僕の指は解放される。
(と、とんでもないことしてきたぞ、この人……)
時間にして恐らく十数秒といったところなのだろうが、映画の内容が一気に吹っ飛ぶくらいの衝撃を受けてしまった。
こんな口撃、もう何度も耐えられな……
「藤馬君」
「っ!?」
ビクリとして振り返る。
そこには案の定、自分の口を指さし、あーんと口を開いている伊万里先輩の姿があった。
(マ、マジですかぁぁぁぁぁぁぁっ!?)
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