82話 清楚系ビッチという最高な矛盾
西園寺さんの水着が流されてしまった。
「え……水着流されているということは、今お胸丸見え?」
「う、うん///」
「なんてこったい」
俺達のすぐ近くに人はいないが、浜辺の方には沢山の人がいる。
もしこのまま浜に戻れば確実に誰かに見られる。
西園寺さんのことを知っている人がいればさらにややこしい話になるぞ。
早く水着を探さなければ。
「俺ちょっと近く探してみるよ」
「待って!」
離れようとした時、西園寺さんが俺の腕を強く握った。
「ど、どした?」
「いや、その……恥ずかしいから近くにいて……」
「トゥンク!」
そんな上目遣いで言われたら何も言えない。
「だ、だけどこのままどうすれば……?」
「背中向けて」
「え? あ、はい」
言われるがまま、背中を向けると西園寺さんは俺の肩に手を置いた。
「ちょ、ちょ、ちょ!」
「このまま、探そ」
「え、えー……」
確かに俺とか他の人に見られないようにはなったが……いろいろとまずいのでは???
だ、だって、その……俺の背中の数センチ先に西園寺さんのその……ち、ち、……ビーチクがあるんだぞ!!
服越しのパイはまだ耐えられた。しかし、生のパイ、それにのっているビーチクはまずい、まずい!!!
何がまずいって、ナニがまずいんだよ!
とにかく、俺の皮膚に接触したらまずい。
"乳鳴らし"が発動され俺の理性の壁が崩壊してしまう!!
それはなんとかして塞がないと!
み、水着はどこだ……。
確かリボンのついた白いビキニだったな。
水着……水着……あ、あった!!
「あれか?」
「うん! それ!」
ゆっくり近づき手に取ろうとした瞬間。
「うおおおおーーー!!」
「はぁぁぁーー!!」
「な、なんだ!!」
勢いよく泳いできた香乃と星川により、波が発生して、また水着流されてしまう!
「ちょ、ちょっと待て!」
体を前のめりにして手を伸ばした瞬間。
「あ……」
背中に生温かい感触……ま、まさか、無理に体制を崩したからか。
だが、掠れただけ。掠れただけならまだセーフだ。
と思った矢先。
「ゆうくん!」
なんと、西園寺さんがさらに抱きついてきた。
数センチあったが水の壁が崩壊。
ゼロ距離で俺の背中にピッタリとくっついた。
その瞬間頭が真っ白になった。
あ……こ、これがビーチク……。
………………………
「み、水着取れましたよ」
「うん」
「あ、あの……」
「なに?」
「いや、その……」
水着を取ったが西園寺さんが離れようとしない……なぜなんだ?
今ギリギリで本当にギリギリで理性を保っているというのに。
「ねぇ……私今結構すごいことしてるね」
急に客観的なことを言った。
「すごいというかエロいというか……」
「へへ、そうだね。こんな積極的な自分に私自身も驚いているよ……」
「え?」
「ゆうくん。私ゆうくんになら見られてもいいよ」
「うぇい!?」
な、何を考えている、この女……。
「それくらい私は本気でゆうくんのことが好きってこと。どうする? ゆうくん」
ど、ど、どうするって……。
見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい
見たいに決まっている。
男だったら誰だってみたい。俺だってそうだ!
でも、でも……。
「み……」
「み?」
ダメだ。
「見たいのはやまやまだが、倫理的にアウトだから! あと西園寺さんはもっと自分の体を大事にして!」
そう言って断ると。
「ふふふ、ゆうくん、相変わらずだね」
西園寺さんは笑った。
そのまま俺は目を隠して水着を渡し、浜辺の方へ戻った。
これでよかったと思うけど、めちゃくちゃ勿体ないことしたな。
「あれ? ゆうくん上がらないの?」
「いや、俺はもう少し泳いでるよ」
「そ、私少し休憩してくるね」
レジャーシートのある方へ西園寺さんは向かった。
ふぅ……。色々危なかったな。
さてと。
下半身が落ち着いたら俺も一旦上がるか。
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