練習

@hayato1192

 つゆのおわりをせんげんするように、かえるのがっしょうがぼくをつつんでいく。

ゆううつにかんじるあめのひだが、ぼくのあゆみはとぶとりをおとすいきおいでそくどをあげていく。

あしたもあめだろうか。いや、それでもぼくはふあんなんてないのだ。


 先々月、学校を辞めた。桜が頬に触れる。

彼女にもフラれてしまったし、勉強も追いつかない。友達も多くはないし、親友と呼べる人もいない。親からの叱責は酷く心を踏みつぶし、誰も味方なんていないと思っていた。そんなあの日、僕は君と出会った。


 君は言う。「僕は君を救いたい」

ブロンドの髪をなびかせる、どこか夢のような容姿を持つ君と僕の接点はまるでなかった。「なにが言いたい?」

君は優しく微笑んだ。「助けてあげるよ」

精神的に参っていた僕は突如として差し伸べられた手に疑いを持たない、いや、持てなかった。「助けてみせなよ」


 君と出会って一か月経った。爽やかな風が服を揺らす。

何も変わらない堕落した毎日に嫌気がさしていた。責任転嫁するように、僕は君を責めた。「僕も時間ないんだけど。そろそろ仕事見つけないと」

君はいつも通り笑う。「待ちなよ。も少しだから」

おあずけをされている犬ッころの気持ちがわかってしまった。


 突然、君に呼ばれた。もう梅雨と告げるような雨の日だった。

こんな土砂降りの憂鬱な日に呼ぶなんて、なんて常識のないやつだ。「なんだよ。」

君は今日も変わらず微笑みかける。「今日はいいものを持ってきたんだ」

その時突如として、僕の唇に刺激が走った。痛覚にも似たそれは、同時に優し気な香りと柔さをはらんでいた。

 そこからの時間は、とても短く感じた。濡れた下着を広いあげながら君は言う。「もう、離れられないよ。私無しでは、君は生きることさえ許されない」

舌に残る刺激が、全てを物語っていた。

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