第5話 四天王ヴァルターとルーベルト

 次の日朝起きてももふもふに包まれていて、朝から幸せすぎる。


(うぅ……起きたくない……幸せすぎるよ~……)


 そのまま寝てようかと思うくらい、気持ちが良かったけれど、ハンナさんの朝ごはんが出来たの声に、急いで起きた。まさかそんなにもふもふしていただなんて。


「ハンナさん、1人働かせてごめんね」


『ふふっ、大丈夫ですにゃ。アヤノ様はお疲れだから気にしないでなのにゃ』


「ありがとう」


 みんなで、ハンナさんの作ってくれたご飯を食べて、犬王ワオウ城へ向かおう! 今日は犬王ワオウ城まで辿り着けるといいなぁ。

 お家を出ると、森の中を進んで行く。先頭にローラントさん、一番最後にランベルトさんが歩いてくれている。みんな2足歩行で歩いているんだけど、歩きにくくないんだろうか?

 でも、木の棒を取りに行く時は普通に4本足で走っていくんだよね。やっぱり走るのは4本足の方が速いんだろうね。



 歩いていると、お昼前には森を抜けられた。森を抜けると、先の方にお城が見える。あれが犬王ワオウ城なのかな。


「あのお城が犬王ワオウ城?」


『そうですわん』


「あれは誰が建てたの?」


『あれは犬王ワオウ様が建てたのわん!』


犬王ワオウ様は魔法が使えるの?」


犬王ワオウ様は魔力が一番強い人がなるのわん!』


 そうローラントさんが答えてくれる。なるほどね、だからあのお城が作れたのだね。

 お城の手前には犬族の街があるみたいだ。あの入口の所に四天王の1人がいるんだよね。今度も取ってこいしてくれるといいなぁ。


 ローラントさんに付いて歩いて行くと、街の入り口の手前に大きな犬がいる。近づいて行くと、大きな犬の犬種が分かった。


(サモエド犬きたー!!! ふっわふわのもっふもふだよ!!)


「や、やばい……あれはもふりたい!」


『アヤノ様……我がいるのにわん……』


『アヤノ様……俺もいるわん……』


「何を言ってるの! みんなそれぞれもふもふ度が違うんだよ!?」


『アヤノ様……それはあんまりフォローになってないにゃ』


(ついつい心の声が洩れちゃったよ……だって、あの白くてふわっふわのもふっもふは別格でしょ!?)


『ローラントもランベルトも、情けないのう』


(おぉ、しゃべり方もなんだか恰好良いぞ!)


『ヴァルじぃ……そんな事言っても、我だって服従するつもりはなかったわん』


『俺だって同じわんっ!』


 これはちょっと難しそうだぞ!? お爺ちゃん犬が木の棒を取ってくれるかしら……今回はタオルボールにしてみようかな。


「私は、犬王ワオウ様と話し合いをしに来ました。通してください!」


『ならぬわん! そんな怪しげなやつを通せるわけないわんっ!』


「ふふっ、では実力行使しかないみたいですね……やってしまいましょう!」


『『きゅ~ん』』


 ローラントとランベルトがしっぽを股に挟んでプルプルしてる。ちょっと可愛いすぎでしょ!?


 私はバッグから、作っておいたタオルボールを取り出す。手に持ってよくヴァルターに見せてからふりふりっとする。


『わふっ!? な、何の真似わんっ!?』


「ふふっ、こうするのよ~」


 手をあっち、こっちと揺らしてみると、ヴァルターも身体ごとゆらゆらとボールを追いかけている。


(これなら行けそうだ!)


「取ってこーい!」


 ぽーんとタオルボールを投げると、やっぱり走って行ってくれた。タオルボールを持って帰ってくると、ぶんぶんとしっぽを振っていて可愛い!


(ふふっ、大成功!)


「よしよし、偉いぞ~!」


『わふっ!? な、なぜ儂は!? あっ……その手……卑怯な……わふん』


(きゃー、このふわっふわやばいよ!? 埋まりたい、もふもふにすりすりしたーいっ!)


「はぁ……」


(気持ち良すぎてどうしたら……)


『わふ~……そ、そんな馬鹿な……儂が負けた……だと!?』


「あら、まだやりますか?」


『ま、待ってくれ! も、もう降参するわんっ!』


「いやいや、遠慮しないでほらほら~」


 お腹を見せてごろりと服従するサモエド犬のヴァルター。ここぞとばかりにさらにもふもふなでなでする。


 ひたすらもふもふする事10分。ローラントとランベルトに止められました。そして2人ももれなくもふもふなでなでしておきました。



『アヤノ様は本当に凄いのですにゃ!』


「ふふっ、もふもふなら任せて!」


『『『くぅ~ん!』』』


 さて、四天王も3人服従させたので、先に進もう。最後の1人の犬種は何だろうなぁ、楽しみすぎるよー!


 ヴァルターも一緒に犬王城へ向かう事になった。そういえば、今まで聞こうと思って忘れていた事を聞いてみる。


「そういえば、犬王ワオウ様ってどんな方なの?」


『犬王のヴェンデル様は、それはもう聡明なお方わん』


『とっても恰好良くて、我らの憧れの存在ですわんっ!』


『俺は、あの方に救われたのわん!』


 ヴァルター、ローラント、ランベルトはとても褒めているけれど、どんな犬種なのか全然想像つかない。


「四天王の残りの1人は?」


『ルーベルトわんね』


『我らの中で一番の忠誠心の持ち主なのわん!』


「そうなんだ~」


 それはまた大変そうな感じだね。いつもの手が使えるといいのだけど、どうだろうなぁ。

 街を歩いて行くと、四天王の3人が揃っているしハンナさんもいるから、街の住人達も驚いている。四天王の3人がいるから、特に襲われる事もなく犬王ワオウ城の前についた。


『なんていう事わんっ!?』


(うわぁ、シベリアンハスキーだよ! か、かわいぃぃぃ!!)


『アヤノ様、ここは儂にお任せ下さいわん』


「えっ!?」


(近くに呼びます故、撫ででやって下さいわん)


 そうヴァルターがこっそりを言ってくれたので、お願いする事にした。


「うん」


『ルーベルト、まずは話をしようわん。ちょっとこっちへ来るわん』


『何わんっ!? そんな事が出来るわけないわんっ!』


『ほう……儂にそんな事を言うようになるとは……あれは2歳の頃に……』


『あっ、ヴァルじぃ! それはダメわんっ!』


『だったら、さっさと来れば良かろうに!』


 ヴァルターがそういうと、しぶしぶとこちらに近寄ってきたルーベルト。ちょっとおどおどしながらこっちに来るルーベルトが可愛い。


『アヤノ様、お願いしますわん』


「うん」


 なでなで……まずは頭を撫でてから耳の後ろをなでなで……


『な、何を……あっ……そこはダメわん……わふ……あ……わふん』


 途中からペタリと座り込んでお腹を見せ始めたルーベルトを、さらになでなでして服従させる。


(ふふふっ、シベリアンハスキーをなでなで出来るなんて……幸せ~。めっちゃ可愛いよ~!!)


『そ、そんな……ぼくが忠誠を誓っているのはヴェンデル様なのに……』


「あら、まだ足りないかしら? ふふっ」


 もう少しなでなでしちゃいましょう~! 私のもふもふ幸せタイムだ~!!


『きゅんっ! あ、アヤノ様に忠誠を誓わせて頂きますわん!』


 はぁ、ひたすらもふもふしてとっても癒されたので、そろそろ犬王様に会いに行きましょうか!

 みんなに案内して貰い犬王様の所へ行こう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る