綺麗な瞳の恋人
※直接的な表現はありませんが、グロ要素ありです。
彼女に頭を撫でてもらうのが好きだ。僕が抱きしめると、いつも彼女は笑って抱きしめ返して、頭を撫でてくれる。引き寄せられるように彼女の唇に僕のそれを押し付けると、甘くておいしくて、僕は夢中になって彼女を味わう。彼女は甘くて、おいしくて、僕は彼女なしではもう生きていけない。
「素敵な瞳。綺麗ね」
彼女はいつも僕の瞳を綺麗だと褒めてくれる。大嫌いだったこの瞳だが、今は感謝している。この瞳がなければ、僕は彼女と恋人になれなかっただろう。大切な、僕の大嫌いだったこの瞳は、彼女のためにあるのだ。
彼が左目に眼帯を付けていた。どうやら怪我をしたみたいだ。心配するけれど、大丈夫の一点張りで詳しいことは教えてくれない。怪我をしたのに、彼はとても機嫌が良さそうだ。夕食を終えた頃、彼が小さな箱を取り出した。
「誕生日、おめでとう」
驚いたけれど、同時にとても嬉しくて。ありがとう、と笑うと彼の顔に花が咲いた。
「僕のとっておきなんだ。開けてみて」
なんだろう、と思いながら箱を開けた。
彼女が泣いている。嬉しくて泣いているのかな。彼女が喜んでくれて嬉しい。
「なんで……」
「よかった、喜んでくれて。ちょっと痛かったけど、頑張った甲斐があったよ」
彼女は首を振る。それから、僕を抱きしめた。ああ、どうして。どうして首を振るの?
「どうしてそんなことを……。お願い、自分を大切にして!」
「大切にしたよ。綺麗だろう、僕の左目」
僕の予想に反して、彼女が笑顔になることはなかった。
Fin.
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