逃走者

バブみ道日丿宮組

お題:最強の失踪 制限時間:15分

逃走者

 幼馴染が3ヶ月疾走したら、パソコンを壊してくれという親友の遺言にしたがって、HDD系統は全部水に落とし、穴をあけた。

 他のパーツをおばさんのご厚意もあり、譲ってもらえることになった。ここらへんは死んだら友だちに渡すか、家族で使うか決めてくれとう事前の告知があった。

 ちなみに幼馴染の部屋はとてもきれいで、女性らしいデザインのあるものを並べたりしてた。ゲーミングパソコンだけが違和感の塊だったが、パソコンをやらない若者なんていないし、気にするだけ無駄だろう。

 これで古いPCがレベルアップするなぁと、るんるん気分で帰ってきたのものの、

「……」

 ゲーミングパソコンなんてものをいただくとは思ってあらず、それ相応のカスタマイズが必要とわかって、その日は運ぶだけにした。


 ーー夢。


 それは確かに夢だった。

 死んだ親友が簡易ベッドで眠っており、おそらく泊まりに来たという記憶なのだろう。

「ねぇ、聞こえてる?」

「普通起きてる? って聞くものだろ」

「寝てるとは思わないもの」

 身体の位置を変えて、こちらに顔を向けた。

 美形だった。月明かりに照らされた幼馴染はまるで月のお姫様のように綺羅びやか。素材の良さを再認識させられた。

「あたしの死体見つかった?」

「なんだよ、死んだのか」

「死んでないけど、疾走はしてるかもしれない」

 夢……なんだよな?

「ちょっとやばいことに手を突っ込んだらしくてね。表舞台には出れなくなった。だから、死んだことになってるのが一番いいんだ」

 ふぅと深呼吸。

「まじめな話、疾走がまだ3ヶ月しか経ってないのに、死亡扱いにされてるってのがよくわからないんだよ」

「発見次第拷問だからね。保護したりする人がいないように、幽霊を見たっていう噂がでるように政府が手を回してるんだ」

 なるほどな……国が関係してるんだ。

「俺ができることはないのか」

「たくさんの下着、しかもかわいいのを買っておいて」

「それは新たないじめか?」

「大丈夫、友だちに任せればすぐ終わるから」

 あいつ苦手なんだよなぁ

「あたしの似た下着がほしいっていえば、すぐ伝わるから」

 これ以上いっても話がおかしくなりそうだったので、

「わかったよ。わかってないけど、わかった」

 そうして、世界は白く染まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

逃走者 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る