バブみ道日丿宮組

お題:純粋な高給取り 制限時間:15分

 位の高い人だからと窓際に移動させられて2日。

「……」

 社内メール閲覧と、ネットサーフィンをし続けるのもだんだんと飽きてきた。学生自体とやることが変わらない状態なのが余計に飽き加減を強めてる。

「……んー」

 今いる窓際であるワンルームは文字通り一部屋で、私が要求したものだけが置かれてる不思議な場所。ブルーレイレコーダー、プロジェクター、AVシアターセット(無駄に9.2ch)、空気清浄機、自動掃除機、ワインクーラー、冷蔵庫、カラオケの機械、と本当に会社のワンルームなのかと怪しくなるものばかりだ。

 仕事中に酒を飲んでも文句が言えないのがこの世界の酷さともいえるか。

「ひまー」

 社内を歩き回れば他の社員に出会えるだろうけど、

「土下座する勢いで頭下げられるだけだものな」

 ほんとなんのためにここにきてるんだろう。

 働くために外に出たはずなのに用意されたのは社長よりも上の位。ただ見るだけの人間。

「……」

 会社の概要には、名前はでてないけど……ネットで自分の名前を探せばすぐに会社に繋がる。○○様がいらっしゃる○○に仕事を回すように、楽をさせるように。

 私よりもお金を上げるのにふさわしい高給取りもいるだろうにな。私がいることによってその人は普通になってしまった。

 仕事をやめようとも考えたけど、また倒産扱いとして国に消されるのを見たくはない。どうして退社が気に入らないから潰せというふうに解釈できるのだろうか。

 

 私は困ってないのに。


 この国の人たちはすべての世話をしなければ居ても立ってもいられないようだ。それにしても限度というのがあるだろう。

 私だって人間だ。神様のように言われて崇められてても寿命がつきれば……、

「延命処置されて……たな」

 子供の頃に身体の中は人工物に置き換えられた。壊れることのない肉体へ変えられた。親だった人に脳が死ぬまで死ねないって聞いてはいるけど……そんなのは望んでない。

「普通がよかったんだけどな」

 遊んだりもしたかった。

 そういう意味じゃ、ネトゲは特定されないから楽しいかもしれない。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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