ゲーマーの人
バブみ道日丿宮組
お題:あいつの正月 制限時間:15分
ゲーマーの人
「なぁお前今日でいくら使ったんだ?」
ぽちぽちと携帯をいじる甥っ子に優しく諭すように尋ねれば、
「うーん、30万ぐらい?」
「うへぇ……すげぇな。お前が稼いだ金だから何に使ってもいいとは思うが……」
さすがに度が過ぎるんじゃないかな。
そう思ってると、
「でも、うちの父親のが使ってるよ。ほら、あいつのデータ」
スマホを操作してなにやらステータスを見せてきた。
どれどれと見てみると、まぁレア度が高いので揃ってるなと普通かなと考え始めた僕に、
「これ全部正月限定のキャラクターでさ。排出率なんと1%未満。で、限界強化済みでおまけにおまけについてくる武器のランダムアイテムまでウルトラレアの0.05%のもの」
ふふんとどこか誇らしげに甥っ子が話すのだが、ちょっと何を言っているのか分からないですね。
「あとね、他のゲームもほらスクショとってあるからさ」
すらすらと声を出しながら、画像をスライドして切り替えてく。どれも眩しいぐらいの星がついてる。もちろんレアなやつだろう。
しかし、僕の予想というか想像を超えて、
「これ全部正月限定のやつだよ」
甥っ子は嬉しそうに笑みをこぼした。
「まだ2日だよね?」
「そうだね」
いや……いやそうだねじゃないでしょ。正月に親戚一同集まった中でそんな時間あったっか? 酒のんで雑談しまくってたようにしかあの人見えなかったんだけど!?
「あいつは特殊だからね」
「親をあいつ呼ばわりはさすがに酷い気がするが」
「ライバルだからね。負けてられない。気にしてないみたいだしね」
なるほど、と頷いていいのだろうか?
お金の管理は当然として家族の繋がりは余計に口出しするものではない。ないのだけど……なんだか普通の親子に思えない。
「それで貯金とかしたりしてるの?」
「そうね。してるね。千は超えたよ。そのぶん仕事忙しかったけど」
千か……どんな良待遇の場所か、あるいはブラックか?
でも……この状態を作れるのだとしたら、できる環境なのだろう。
「あぁそういえば会長だったっけ……?」
ふと甥っ子の仕事を思い出す。
「うん。ビジネスは他人任せで、方向性と社内の空気とかを主に見てるよ」
昔から才能だけはあった。
大学生で既に会社を起こして、それが成功してたんだ。
だからこそ、母親もやってることに文句が言えなかったのだろう。
「でも、おじさんは違わなかったっけ?」
「うーん、統括部長みたいなのだね。なんかの」
なんかの……、なんのだろう。そういえば聞いたことがなかったな。今度聞く機会があれば聞いてみよう。
「ほしい限定キャラとこういった確実に入るイベントはガン回しして、普通のは回さないからね」
だから、お金は貯まると、甥っ子はお金のため方についてレクチャーをそれから数分話してくれた。なるほどと思うことはあったけど、とてもじゃないけど真似はできなそうだった。
ゲーマーの人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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