第三話 八万尺様への対抗手段?
調べ物をするといって、
村長さんも用事があるからと立ち去ってしまい。
結果として仏壇――
「あの『ぽ』って音、あたしたちも聞いちゃったけど、
「客観的にみて、ないでしょうね。もし私たちが呪われているのなら、
なるほど、
「丈治さんは、大丈夫?」
「あんたみたいな
「置いていかないよ。死にたくないって言ってる人を見捨てるほど、あたしは人間やめちゃいないもの」
「……
にじり寄ってきて、あたしの手を
思わず顔を
「日華ママ……」
「
部屋の
「えっと、丈治さん」
「なんっすか、ママ」
「ママはだいぶきついけど……いや、そうじゃなくて、この仏壇のことは、なにか聞いてる?」
村長さんは、これを仏壇ではなく護仏壇といった。
額面どおりに受け取るのなら、いま丈治さんを守っているのは、この仏壇と言うことになる。
しかし、彼は首を横に振って。
「わかんねーっす。ただ八万尺様にあって腰をぬかしたら、あいつらがおいらをここへ運び込んで、縛り付けて動けねーようにして『この前から動いた死ぬ! この前から動いたら死ぬ!』って
そのへんの線引きはちょっと解らないが、しかし。
この仏壇からは、なにか違和感を感じる。
黒い仏壇である。
ぴしりと
「……これまではなんも思わなかったんすけど……これ、中ってどうなってるっすかね?」
うん、たしかに気になるよね。
「こら、丈治。なにか
「なに呼び捨てかましてんだアマ! ……あ、すごい美人……えっと、言われてないっす」
……丈治さんのことが、急にどうでもよくなってきた。
「なら……開けてみる?」
そう言い出したのはあたしだったが。
他の二人も、無言で同意した。
「おいらも男っすからね! 巫女さん、よく見ててくださいよ!」
妙な
それを、あたしと藍奈は並んで見ている。
「ニッカポッカ」
「なに?」
「万一の場合、私は逃げます。少しでも異常があったら、知らせてください」
さすがは
この
「じゃあ、行くっすよ……」
丈治さんが、扉を開けようと両手に力を込める。
ゆっくりと、観音扉が開く。
現れたのは――
「……仏像?」
頭が二つに、目が三つずつある、
中央に、
「……っ」
ぎしりと、左目が
仏像から――否、その背後からか? なにか、なにか酷く
「悪しき!」
「おわ!?」
藍奈が、丈治さんの背中を思いっきり蹴り飛ばした。
その反動で、仏壇の扉が閉まる。
かちゃりと再び密閉された仏壇からは、もうあの〝色〟を感じなかった。
「これは――〝|赤〟い」
「ママは目が悪いんすか?
「丈治さんはちょっと黙ってって。藍奈」
「……仏壇と八万尺様について、思い当たる
さすが相棒、
やれやれと
「
と、言った。
「あれは、対策さえ知っていればとても弱い、人など殺せない〝怪異〟です」
§§
「
「
「人を殺せるじゃないっすか!?」
「しかし、対策はあまりに簡単です。
……待って。
じゃあ、あのとき。
なんで藍奈は、あたしに足払いをかけたの?
「この怪異――
「つまり?」
「おまえは目がいいので、本質を視ている可能性がありました。それでは口でなんと言っても無意味でしょう。なので、相手の姿が見えないように、転ばせたのです」
なら、丈治さんは?
丈治さんは一度
「首を切られる前に転んだのが
なるほど。
納得した。
「な、納得しないでくださいっす!」
「それは無理。じゃあ……丈治さんは仏壇の前から移動しても、問題ないんだね?」
「マジっすか日華ママ!」
「だからママというのをやめろ」
だいの大人が、あしたのニッカポッカを掴んで離さないのは、さすがにどうかと思う。
ライナスのブランケット
「そうですね、ニッカポッカのいうとおり、本来なら護仏壇の前に居ようがいまいが、仮称:見越し入道は関係ないはずなのですが――」
「それについては、アタシから提案がある」
襖をスパンと開けて、仏間に入ってきたのは、他ならない春原の姐さんだった。
彼女は、開口一番。
「一晩待ってみようぜ。たぶん、おもしれぇ
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