第三章 自殺スポットで地引き網
第一話 ヤのつく自由業の姐さんと会食を
「それで? どーなんだよ、
今日も今日とて、悪趣味な黄色統一コーデを着こなしている、ヤのつく自由業。
小鉢を全てあたしに押しつけ、
事務所に顔を出したら、夕飯を
姐さん
それにしても、もう少し、栄養のある食事が取りたい。
こんにゃくはゼロカロリーだ。
「ぜーたく言うんじゃねーよ。食えるだけ有り難てぇと思わねーのか?」
「そりゃあ思うけどさ」
いくらなんでも、限度というものがある。
「うるせー、うるせー。
「……。で、なにが聞きたいわけ、姐さんは?」
「あン? そんなもん、
「にゃ、にゃははは……」
確かに大口で稼げる心霊バイトだが、まだまだあたしの借金を全額返済できるほどじゃない。
こういうのは時間をかけてコツコツとが大事なんだと、なんか両親も言っていた気がする。
「のんきだねぇ。明日は明日の風が吹くもんだが……それにしたって身体が治って落ち着いちまったんじゃねーか? そんなんで、死ぬまでに返済できんのかよ」
「痛いところを……」
「なんだ、引退するか、心霊バイト」
「引退したら借金、返せないじゃん」
「そりゃあ、そうだが」
「そういえば姐さん、お土産のお肉、美味しかった?」
「おー、あれな。独特の臭みがあったやつな。酒のあてに丁度よかったわ」
カラカラと笑い、また黄金色の液体を
そして、
「――――」
「――――」
時間が静止したような
周囲の
腹の探り合いだ。
別段、こちらに含むところはない。
けれど……あたしの稼ぎは全て姐さんにチェックされているのだ。順調かどうかなど、聞くだけ手間である。
それを、わざわざ口にした。
理由がない、わけがない。
「オーナーとよ」
姐さんが、重たい口を開いた。
「ずいぶん前、おまえを心霊バイトのオーナーと引き合わせただろ?」
「……たぶん」
困ったことに、そのときの記憶は
オーナーと呼ばれる人物と、確かに会った覚えはある。
だが、その人物がどんな姿をしていたか、どんな顔をしていたか、思い出すことが出来ないのだ。
「オーナーはアタシの
「誰?」
「ともかく、恩義がある。おまえにもしこたま教え込んできたが、この家業は義理と人情を捨てたらお
「…………」
ずいぶんと
そうして、顔の上半分を両手で覆い隠しながら、苦しそうに
ざるである彼女にしては、やけに珍しい姿だった。
「
彼女の裸眼が、
否――背後に現れた何者かを見て。
「オーナーが、直接おまえを指名したとなれば、断れねぇわけよ。わりぃな、架城日華」
「っ!?」
反射的に振り向いて、途方もない後悔を覚えた。
これまで感じたこともないような激痛が、
痛い、熱い、痛い。
だが。
この目は確かに
そこに
――知らない。
あたしは知らない。
これまでの人生で、こんな色彩を目撃したことはない。
こんな混沌とした、渦巻く、
――
「
あたしは。
極度の苦痛に耐えきれず、意識を手放した――
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