第9話 パパとママと街へ遊びに

 今日は日曜日。オレはパパとママと街へ遊びに連れていってもらう。なんだか、懐かしい気がする。前世のオレの最後は冴えないサラリーマン。なんだろう、すごく懐かしい。


「ルイはパパとママではどちらが好きなんだ?」


 パパがオレにそう言って笑顔である。なぜか、前世のオレの幼い時期の思い出と重なって、今のオレの感情が震えてくる。なんだろう、懐かしい、それと泣きそうになるオレ。


「どうしたの? ルイ? 何かあったら、ママに言ってちょうだいね?」


 ママの言葉が、オレの前世の記憶を呼び戻すかのようだ。なんでオレは前世であんな死に方をしたのだろうか。本当は、オレの両親は前世の世界に居たはずなんだ。目の前のパパとママはあくまでも長田ルイのパパとママなのだ。オレは気が付けば涙がポツリポツリと地面へ落ちていく。それを見て、パパとママは慌てた様子でオレの表情を見つめている。ああ、会いたいなあ、前世のオレの本当の両親に。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る