XIV　TEMPERANCE.　節制

　人馬宮(射手座)　紺色

　節制が示すのは「統合」「節制」「調和」「平穏」です。

　この人物は大天使ミカエルまたは虹の女神アイリスです。川沿いには忠誠心を表すアイリスの花が描かれています。後光が白い神性の輝きです。

　水をワインに注いで混ぜ合わせて「統合」し、飲みすぎを「節制」しています。

　杯から杯へと生命のエッセンスを注いでおり、片足が合理的認識である大地(緑岩)に置かれ、もう片足は心的(サイキック)な能力の本質である水たまりに踏み込んでいます。生命のエッセンスの心的(サイキック)な性質と物質的な性質を「調和」させているのです。

　新たな生命を作るために組み合わされるべき自然のふたつの面も表しています。常にどんな状況においても、その問題の中央を通る「適切で正しい」の道を選ぶのです──ですが、その足が示しているように、他者が訴えてくる感情に共感しないわけではありません。

　左側に偉大な太陽(光の環)へと続く道が描かれています。肉体の中にいる人間でも到達可能な「永遠の生命が持つ秘密の幾ばくか」を示しています。

　生きている間に到達可能な高次の意識ないしは気づきの状態である、まさしくこの世での霊性の向上についてです。

　心理学でいえば、これは想像力＝自我と純粋な自己意識の関係を象徴しています。

　「節制」の人物はそれらの間に立ち、私たちが何に気づいたか、またそれに対してどのように濾過し、自己同一性の中に吸収していったかについての情報を絶えず伝達しています。

　「節制」は何に気づいたのか、そしてどのようにしてそれに気づいたのかを伝える偉大なフィルターのような存在です。

　私たちが四つの自己の低次な面すなわち肉体、想像力、知性、感情を抑制できるとき、雑音は消え、信号が現れてくるようになります。

　肝心なのはもともとヴェールがそこに存在するわけではありません。誤った視点から見られる幻影にすぎないのです。

　人が自ら低次の性質を抑制し、イニシエーションの山へと上昇するとき、すべては光となります。

　射手座がこのカードと関連してします。この星座は高い理想と、信仰心、崇高な視野を持っています。もはや求道者にとって、この哲学的概念は抽象的なわかりにくいものではありません。

　彼は、別の面でのバランス──肉体と精神のコーディネート──を得ているのです。

　女神アイリスは平穏な静けさを象徴するため、このカードも「平穏」を示します。とりわけ対立するもの同士を和解させてもたらされる平穏です。

　また、調和的な全体を作り出すために、異なる要素を持つ様々な物事がひとつに結び付けられ「統合」されることも意味します。

　仮にあなたが自らの霊的な道から遠ざかっている場合、このカードが自分本来の道を再び思い出させてくれることもあるでしょう。

　仮に解決を待ち望んでいることがある場合、このカードは平和な解決策をもたらしてくれます。しかもそれは「正義」の助言とは異なり、すべてに対して等しく好ましい解決策となるでしょう。

　四つの枢要徳の「節制」を表すカード。他は「隠者＝熟慮」「力＝剛毅」「正義＝正義」。

【正位置】

「統合」結合、組み合わせて創造性のある問題解決。協力、調整。

「節制」節度、自重する、倹約、忍耐、反省、力を蓄える、力をセーブする。

「調和」心身の調和がとれている、安定、調和を図る。

「平穏」穏やか、平静さ、つりあい、バランス、内的なバランス感覚。和解、順調、ちょうどよい。安定。

「素直」心を素直にする、オープンな心、人の意見をよく聞く、秘めた思い、イマジネーション。

「試練」テスト、試練をパスすること、状況にうまく対応すること。またグッドタイミングを呼び込む。

【職業と為人】神からの女性メッセンジャー。すべての人々の心にある天使の一面。窮地から不死鳥のように舞い立ってすぐにまた試練に立ち向かう女性。諍いを平穏に収める仲介人。新たな人生に献身する人。

　質問者は、妥協するよう求められます。アプローチは穏やかに行うべきです。

　このカードの重要な意味はタイミングです。正位置で出ると「よいタイミング」を表します。(企業が求人広告を出してすぐに申し分ない人が応募してくるとか、恋愛で相性がぴったりの相手が見つかるなど)。テストとか試験・試練を表す場合もあります。試練の時がおとずれ、質問者のものの考え方はそこで試されます。どうしようもない困難な状況が襲い、彼の信念がどんな時にでも揺らぐことのない不動のものであるかテストされます。あるいは、単に医療上の検査とか、学校でのテストを表すときもあります。正位置であれば、質問者はこれらをパスするでしょう。

【逆位置】

「停滞」他人への拒絶反応、極端、消化不良、マンネリ、惰性に流される、

「不節制」忍耐に欠ける、不摂生、力を入れすぎ

「不調和」不一致、衝突が多い、すれ違い、経営のまずさ、

「欲望」強い欲望、過激で不適当な行動。低いほうへ流される。行き過ぎた行動、夢中になりすぎる、あるいは極端に走る。これは必ずしも悪いこととは限らない。

「強情」強情を張る、柔軟性がない、不安定。会話不足。コントロールを失う。妥協心の欠如。

「危機」やり遂げられない、いいかげん。不毛。悪いタイミング、

【職業と為人】試験に落ちる。浪人する。自分の欲望を律せない。不節制、中毒に陥る。好きなものに労を惜しまないマニア。

　行きすぎた行動をとり、質問者は苦しい状況に追い込まれます。対応のまずさや妥協心の欠如が、質問者の立場を危うくします。オーバーリアクションや短気な性格が、大切な場面をぶち壊しにしてしまいます。経営・運営・管理は失敗します。極端な行動、道理をわきまえない行動は控えるようアドバイスしてください。調和を生み出すための交渉・妥協が必要です。