異世界に転生したチート持ちだけど勇者じゃない! -異世界に転生しただけで勇者になれると思うなよ-

九十九 薛

第1話 異世界に転生した俺

車に轢かれ、目を覚ますとそこには広大な草原が広がりまるで自分がいた世界とは別の世界に見える。


制服に入れていたスマホを取り出そうとするがポケットが無いというか服装が違う。


それだけじゃない足や腕を見るとか細く華奢な体つき、何より髪が銀色で長い。


頭がこんがらがってきた。


「あ、あのぅ、どうかなさいましたか?」


金髪に長い耳をした少女が話しかけてきた。


「俺ってどう見える?」


自分でも何を聞いているんだと思っているがそれでもその少女へ問いかける。


「???えっと、その可愛らしい綺麗な顔立ちをした女性に見えますが?」


「男ではなく女性?」


「はい、大丈夫ですか?頭とか打ってませんか?」


少女が頭を撫でてくる。


なんかほわほわする、なんだこれはと変になりそうになるがはっと我に返り現在の状況を考える。


「一体なんなんだこの状況は、、」


「鏡を見ますか?私ちょうど鏡を持ってまして」


「頼む」


少女が取りだした鏡を覗き込むとそこには糸のような銀髪に透き通るような碧眼、可憐な顔立ちの可愛らしい少女が映っていた。


「あの??」


股間に触れるがあるはずのものが無く、無いはずの胸も存在している。


「な、な、な、」


「な?」


「なんじゃこりゃああああああっ!!」


思わず叫ぶと隠れていた小動物たちが逃げ去っていった。




先程出会った少女に家へ案内され、着いていくことにした俺だったがあまりの展開に家へ着くまで放心状態と化していたらしい。


「落ち着きましたか?」


「ああ、すまん。助かった」


「女の子ですから喋り方も変えた方がいいと思います。折角の可愛らしい容姿が勿体ないです」


「可愛くねぇ!」


「お名前を聞かせていただいても?」


「ああ、、おが、、、、」


自身の名前を言いかけ今の姿を思い出し、少し考える。


「?」


「こほん、、リシア・ウィリーリアス」


好きな作品のメインヒロインの名前を咄嗟に名乗ると少女の目が輝いた。


「可愛らしい容姿に可愛らしいお名前、、うへ、うへへ」


少女はヨダレを垂らしいやらしい目付きでこっちを見る。


「な、何を考えてる!」


「うっ、、ごめんなさい。可愛らしい女の子を見るとついつい私の野心が、、私はアルミスと申します。種族はエルフです。よろしくお願いします」


彼女の長耳に種族のエルフでようやくここが異世界だと納得してしまった。


「この世界のことをある程度教えて欲しいんだ、、教えて」


男言葉を使おうとしたらアルミスが鬼の形相でこちらを睨みつけてきた。


「言っている意味はよくわかりませんが、その様子だと記憶喪失のようですね。まず、この世界には魔法が存在します。魔族や人族関係なく生まれた時に属性の適性は必ずあり、その属性は三大属性と呼ばれ火・水・木ですがたまに闇と光と呼ばれる属性に適性を持つ人もいます。それでも多くて3つですね。それ以上の適性を持ってる人は聞いたことがありません。そして人族と魔族は条約により戦闘の一切をしないという約束をしてますので平和が保たれています。この街は特に魔族の領地に近いですから魔族との交流も盛んです。この街はアスタロト王国の辺境の街、リンガです」


「その魔法の適性はどうしたら分かるん、、分かるの?」


「各街に存在する依頼を受ける場所でもあるギルドで確認できます。今から行きますか?」


「たの、、お願いします」


アルミスの睨みつけてくる顔が怖すぎて眠れなくなりそうだ。


「リシアさん、街では絶対に男の人のような言葉は使ってはいけませんよ。リシアさんは女の子なんですからそれではモテませんよ」


「え、別にモテなくてもいい、、いえ、ナンデモアリマセン」


アルミスの後ろを歩く形で着いていくと街は賑やかで少し楽しそうだ。


「ギルドはここです」


この世界の言葉で書かれたギルドという看板があり、中へはいると酔っ払いの中年の男やギザっている青年がいるがそれを無視して綺麗な受付の女性へアルミスが話しかけた。


「アルミスさん、そちらの方は?」


「彼女は私の友人で最近この街へ引っ越してきたばかりなんです」


「アルミスさんの友達でリシア・ウィリーリアスと申します。よろしくお願いします」


「私はこのギルドで受付をしてます。フィーアと言います。よろしくお願いしますね、リシアさん」


「今回来たのは彼女の魔法の適性確認をしたくて」


「分かりました。では、リシアさん、この石版に手をかざしてください」


言われた通り石版へ手をかざすとどういう原理か埋め込まれた石が全て光った。


「「う、嘘っ!?」」


二人が呆然と立ち尽くし、反応がない。


「えっとまさか、私適性ありませんでした?」


「そ、その逆ですっ!全ての属性に適性していますっ!しかも物理以外の全てのステータスが最大値に達してます!!」




リシア・ウィリーリアス


ステータス


物理攻撃値:30000


魔法攻撃値:50000


物理防御値:25000


魔法防御値:45000


MP:24000


能力:【不老不死イモータリティー】、【略奪ディプリヴェイション】、【全属性耐性】、【高速詠唱】、【無詠唱】、【対勇者】


称号:《天魔王》




自身のステータスを見て若干引く。


こんなのってラノベとかでよく見る俺TUEEEEってやつだよな。なんでだよと思い内心少し嬉しくもあった。

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