死んでくれ、親父!

うらおもてなし

第1話 小学生の時に不思議に感じた親父のこと

親父「直、コーヒー4つ入れてくれないか?」


日曜日の朝に起きていた直を見つけた親父は

そういった


直「うん、わかった」


直は理由もわからず、とにかくコーヒーを作ることにした

親父から物事を頼まれるのは初めてだった

なんか嬉しい…


直は不器用ながらも

ヤカンに水を入れて、コンロの火を付ける

コップはこれでいいかなぁ〜

4人いるしなぁ

同じのがいいだろうな〜

砂糖とクリープもスプーンもいるだろうな

食器棚から自分で選んだコップ

直は楽しそうだ

なんとかコーヒーを4つ入れたお盆を持って

親父がいる部屋の入口で親父を読んだ

ドアをそっと開けると


直「出来たよ」


親父「そこに置いといてくれ」


直「うん」


直は部屋の中の様子が気になって、その場に立ち尽くした

部屋のドアがスライドした光景は


「なんか嫌な匂い」


「ジャラジャラ音がしている」


親父「もう、いいぞ」


直「うん」


後からわかった

親父は仲間3人を誘って自宅で

「徹夜麻雀」をしていたのであった

嫌な匂いはタバコの匂いだった


直は思った


母さんとお爺ちゃんも日曜日なのに

朝早くから仕事に行ってる…

それなのに…

親父は…


直は親父の行動に疑問を思い始めるのであった…




ある日

親父と直と弟の信の3人の日曜日の朝

母さんとお爺ちゃんは仕事に行ってる


親父「鳴門に釣りに行くか」


直と信「行く〜」


親父と釣りに行くのは初めてだった

いつもはお爺ちゃんに連れられて川釣りには行ったことはあった


すごく楽しみだった

親父から色々海釣りを教えてくれるだろうと思った、その時は…


やがて釣具屋で餌を買って、足場は悪いが投げ釣りで楽しめそうな場所に着いた


釣り方を直と信は親父から教わって、釣りを楽しんでいた


1時間した頃だろう〜


親父「餌が足りないから釣具屋に行ってくるから、2人でここにいろ」


直と信「わかった」


直と信は2人きりになって寂しくなったが、親父もすぐ帰るだろうと思っていた


しかし…


2時間経っても親父は帰らない…


釣りは好きでも、2人きりになって…

時間も経って…

竿を置いて親父を待った


そして3時間後、親父が戻ってきた


親父「魚釣れたか」


直と信「釣れなかった」


親父「今日は帰るか」


え…

心の中で親父は餌を買いに行ったのなら

今から親父は釣りをするもんだと思っていた


それなのに…


釣り場から駐車場まで歩いてる途中…

親父のポケットから紙が落ちた


直は親父に渡そうとしたが

紙の内容を先に見てみた


「鳴門競艇8レース 3−5 1000円」


と書いてあった…


釣具屋でレースの券が買えるんだと信じた


しかし

後から思った…


親父は初めから鳴門に釣りに行く目的と見せかけて、子供を置き去りにして鳴門競艇に行っていたのだった


直も信もライフジャケットもしてない

万が一、事故にあって海に落ちたり、いなくなったりとは考えなかったのか


つまり…

親父は子供の心配よりも、ギャンブルの方が心配だったのだ


直は…

他の家庭でも親父はこんな事するのだろうか?

不信感に襲われていた

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