第5話 正しい道しるべ

そして、私は、化け物を見るのには慣れて、病院の先生からも退院の許可が下された。出たときは、なぜか気分が高揚し、今まで出たがってなかったのが不思議でたまらない。恍惚境もなくなり、私は、帰路を辿ろうとしていた。しかし、化け物はなんとも不思議なものだ。多分一生分かり合えないだろう。いや、正確には、いつかは分かり合える。だが、その時に私は生きているとは限らない。なぜなら、まだ全員が見れるわけではないからだ。それを、ただの一般人である私が、公に説明でもしてみろ。鼻で笑われるか、最悪私自身に被害が来るだろう。そんなことは避けたいので、私は、ただただ普通に過ごすふりをするのであった。まだ怪物の声はする。

「アア、コ、、こ、、、、こん、??あう、」など、相変わらず意味の分からない言葉だ。しかし、いつしか、その化け物が発する喃語でさえ、燦然とするような響きを感じるようになった。私はこいつらに操られてるのか?そう考えもしたが、操っているなら、こんなに自我を保っていられるわけがないと思い、その考えは即座に捨てた。私は、また疲れるだろうと思い、そこで考えることはやめた。

 私は、この人生を退屈に思う。いや、正確には、人間そのものを退屈に思う。なぜかって?なぜなら、人という生き物は、生まれてから死ぬまでルートがある。そこには、いくつかの分岐点があり、選んだほうしか行けない一本道になっている。後戻りはできない。それをどう選択するべきか。正しい道しるべは自分で決めたり、人に任せたりする。人間というはクズだ。例を挙げよう。そうだな、受験で考えてみよう。わかりやすいだろう。世の中には自称進学校というものが存在する。私も、自称進学校の卒業生だ。模試を受けるとき、途中までA判定だったものが、最後の模試でE判定をとってしまったとしよう。そこで、教師は何というか、そこは諦めろ、というではないか。そして、第二志望がB判定だったとしよう。可能性はある。と、思うだろう。しかし、教師はこんなことを言うのだ。お前には無理だ。だったら推薦で行け、と。私は思った。教師はクソだ、ということに。これはすべての教師に言えることではないが、一部には存在する。そこで、私は、子供のほうにも、批判を感じる。スポーツ推薦だ。頑張ったのはすごいことだ。尊敬するレベルで、教師よりかは全然いいと思う。だが、少しの不満が、推薦でいい大学に行けるということだ。なんとも社会はおかしいとも考える。才能を持つものは、優遇され、持たないものは、侮蔑される。世の中は意味が分からない。正しい道しるべとは何なのだろうか。私は、絶対正解はないと思う。

 熱く語ってしまったが、要は、人生のルートは自分で決めるべき、ということだ。環境によってそれができない可能性はあるが、自分の信念を貫き通してほしい。私も、これからは自分と向き合い、正しいルートを歩めるように。


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彼は人間 カキピー @kakipisan

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