第18話 そこまで言うなら
私は、フェルムーナ・エルキアードとかいう自分が正しいと思い込んでいる人と話していました。
そんな中、お姉様が声をあげました。何か、言いたいことがあるようですね。
「シャルリナ、フェルムーナさんに協力してあげたらどうかな?」
「え?」
「あら、話がわかる人ですね」
お姉様の口から出たのは、とんでもない言葉でした。
でも、彼女がそれを口に出すことは理解できます。人がいいお姉様ですから、こんなに押している人を放っておけないのでしょうね。
こうやって、人の優しさに付け込むなんて、フェルムーナ・エルキアードは嫌な人間です。まったく、どうしたものですかね。
「お姉様、こんなことをするのは面倒ですよ。どうして、私がこんな人に手を貸さないといけないんですか?」
「そんなことを言わずに」
「うーん……」
「ね?」
「ああー」
お姉様の言葉に、私は震えてしまいます。
基本的に、私は面倒なことは絶対にしたくありません。
ですが、お姉様に頼まれると断れないのです。私にとって、お姉様は貴重な心が許せる人です。だから、その頼みはできるだけ断りたくないんですよね。
まあ、色々と言っている私ですが、フェルムーナ・エルキアードの提案はいいことだということはわかっています。正しいことをしようとしていることは、厄介なことに確かなんですよね。
そういう正しいことをしようとしている人を、お姉様は見捨てません。絶対に協力するでしょう。例え、私が首を横に振っても。
でも、このフェルムーナ・エルキアードという人間は少し危ない人です。端的に言って、わがままなお嬢様なんですよね。
私も、似たような者なのでわかります。この人は、自分の好き勝手に振る舞うでしょう。そんな人とお姉様を一緒に行動させるのは気が引けます。
だから、私が傍についているべきでしょう。この人のためではなく、お姉様を守るためなら、私も納得できますからね。
「わかりました。仕方ありませんね、お姉様がそこまで言うなら、協力しましょう」
「やっと、わかりましたのね」
「はいはい、わかりましたよ」
私の言葉に対するフェルムーナ・エルキアードの態度は、少しイラっとします。
まあ、でも、今は許してあげますよ。こういう人は、乗せておいた方が話も早いですからね。
「まあ、私は面倒なことが嫌いなので、一番早い解決方法を選びましょうか」
「それは、一体、どういう方法ですの?」
「王族と話し合うんですよ。丁度、利用できそうな人がいるんです」
「へえ、そうなのですね」
面倒なのは嫌いなので、わかりやすくいきましょう。
第三王子であるウェルクード様は、私がやめるのを惜しんでいました。彼なら、私が話したいと言ったら、応えてくれるはずです。
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