イメージ力で戦闘ロボットをクリエイト! 〜ツクロボ☆クエスト〜

@kanna07

第1話 ロボット達との出会い 

春休みの最後の日、ジュンが塾からの帰り道に街路樹のたくさん生えている遊歩道を歩いていると木のしげみの近くに小さななにかが落ちていた。


「ん?なんだろこれ。」拾い上げてよく見てみると、それはジュンの親指くらいの大きさのネジだった。そのネジは普通のネジとは違って乳白色に虹を溶かしたような、美しい色あいをしていた。


「うわぁ!きれいだ!」


指でくるくる回しながらしばらく見つめ、ふと足元を見ると…

「!」

茂みの中にあって気づかなかったのだがそこにはマンホールくらいの黄色の光を発する穴があいていた。ジュンはうっかり穴の中に落ちないように四つん這いになって、そうっと穴の中を覗いてみた。


穴の中は黄色の光で満たされ、霧のようなものが発生している。

じっと目を凝らして見ましたが、その奥にはなにも見えない。ジュンは次に落ちていた小さな石をぽいっと投げ込んでみた。石は霧の中に吸い込まれ音もなく消えた。次は落ちていた長い枝を使って穴の中をかき回してみることにした。四つん這いになって、はじめは枝の先だけ入れてかき回してみたが、なにも反応がないのでもっと大胆に腕も入るくらい枝を突っ込んでみた。と、そのとき膝が草で滑ってバランスをくずしたジュンは真っ逆さまに穴に落っこちてしまった。


「わあぁぁぁ!」


落ちていく恐怖と黄色い光のあまりの眩しさに目を開けていられなくてジュンはぎゅっと目をつむった。


ジュンが次に目を開けると、木の下に丸くなって寝転がっていた。おそるおそる起き上がってみた。顔や体をあちこち触ってみたが、どこも痛くない。


「そうだ、僕、不思議な穴に落ちたんだっけ。」

そうつぶやきながら周りを見回してみた。まわりは一見木と草が生えている草原のようだった。

しかしよくみると、なにかがおかしい。足元の草は白く、一本一本プラスチックのようなビニールのような触り心地で、柔らかいのにちぎろうと引っ張ってみると伸びるのに絶対にちぎれないし、木の幹は全体白いうろこのようなもので覆われていて、葉っぱは大きくうす緑でてかてかツヤがあり、これが一番驚いたのだが、実はオレンジ色と赤色で電球のように内側から発光していた。


「なんだこれ!ぜんぶ作りもの?しかもちょっと動いてる!」とつぶやきました。周りに誰がいないか呼んでみた。


「おーい、こんにちはぁ!誰かいませんか?」耳をすませましたが、しーんとして誰もいないようだ。

ジュンのいる木の下の前から草が生えていない道がどこへともなく続いている。


ジュンはその道を仕方なく歩き出した。目の前には青空…ではなく薄緑にぼんやり光る空と白い草の生えた平原がどこまでも広がっている。しばらく歩いて歩き疲れたジュンは道ばたに、ちょうど椅子になりそうな黒い岩を見つけたので恐る恐る腰掛けた。


途方に暮れていると、ぶつぶつとつぶやく声が聞こえてきた。

どうやら誰かが独り言をつぶやいているようだ。声の主はこちらに近づいてきている。

悪い奴だったらどうしようと、見つからないように頭を下げて低くした。

耳をすますと声は甲高くて、どうやら子供の声のようだ。子供同士なら大丈夫かと思い、ジュンはそっと立ち上がってみた。


しかし、立ち上がって目の前に見たのは子供ではなく小さな可愛らしいロボットだった。

そしてそのロボットは宙に浮いていた。


「えっ!?」

ジュンがあっけにとられていると、ロボットはスーッとジュンの前まで飛んできた。そして可愛らしい声を発した。


「⊂⊿⊇℄йё?」


「え!?」


「⊂⊿⊇℄йё?・・・ЦЖю⊇℄?」


「なに?なに言ってるのかわからないよ」


「§ΨЖй・・・‰щйё◆φ⊿?」


ロボットは首をかしげて青色の光の目をぱちくりさせながら、ジュンの顔を覗き込んできた。相手の目は好奇心に満ちていて、どうやら敵意はないように見える。少しほっとして、心の動揺を隠しながら、バレないようにロボットを観察した。


ロボットはジュンを気にしながらも、何かを探しているらしくキョロキョロしながら下を見ている。

シャープだけれど丸みを帯びた胴体に頭と手足・・・ボディの色は白でところどころに青と水色のラインが入っていて可愛らしくてカッコいい。ジュンが思わず見とれているとロボットが指さしながら突然大きな声を発した。


「жーーー!юζф〃‰й▽★!」


「えっ!」


慌てて指を指している方を見ると、それはジュンの左手にもっていた例の白いネジだった。

ジュンは思わず手を背中側に回して隠そうとした。

ロボットはそれを見逃さず、ジュンの背中側に回って再びネジを指さした。

そして手のひらを上にして両手を差し上げて、それを見せててほしいというようなジェスチャーを何度もした。

ジュンは一瞬迷ったが、しぶしぶロボットの小さなてのひらにそれを置いた。

ロボットはそれを指さしてから自分を指さした。


「え?君のだって言ってるの?それともちょうだいって言ってるの?」


「℄∴∞▼ф〃ш!」


「え、ごめんよ。なにいってるかわからないよ。」


ジュンは首をすくめて頭を振った。


「⊿Й§∞≫ηэф〃▼ζ!」


ロボットは何か叫ぶと、ネジを持っていないほうの手でジュンの手をぐいぐいと引っ張ってどこかへ行こうとし始めた。


「おーい、どこに行くのさ?」


ジュンはそれまでにもさんざん歩きまわって、もうこれ以上どこにも行く当てもないし、ロボットにも敵意がなさそうに見えたので小さな可愛い手に引っ張られるまま、駆け足でついていった。


草がたくさん生えている草原のなかのくねくねと曲がった細道を引っ張られるままに進んでいくと、まず、まばゆく光るとても大きな塔のような建物が目に入った。

そしてその手前に、大きな丸い屋根に目みたいな窓や口が扉になっている建物が建っているのが見えた。

両脇にはこれまた耳みたいな四角の部屋がくっついている。(わー!ロボットの顔みたいな建物だ!)ジュンはしばし建物に見とれてしまった。小さなロボットはためらうことなくジュンの手を引っ張ったまま、自動で開きかけている大きな扉の隙間をすり抜けて入って行った。


まっすぐ奥の部屋まで行き扉が開くと、小さなロボットは部屋の奥のほうに向かってなにか叫んだ。


「∞★℄ー!ЦδπшÅ∞θ!」


すると部屋の奥からなにか小さい物体がこちらめがけて走ってきた。


「犬!?」


ジュンは思わずつぶやいた。それはよく見ると犬の形をしたロボットだった。小型犬のような大きさで、金属のしっぽをちぎれんばかりに振っている。


「犬のロボットだ!」ジュンはしゃがんで頭をなでようとしたが、ガラスに仕切られた部屋から誰かが出てきたのに気づいて顔をあげた。


よく見ると、その誰か人のようなものはやはりロボットだった。

人間の大人のような形をしているのでアンドロイドというのだろうか。しなやかに動く腕も指もついていた。体は白くコーティングされた金属でできており、そして全身に発光する黄色の流線型の装飾がついていた。両耳があるところからは黒い流線型のアンテナが付いていて、目のあるはずのところに黒の透き通った材質がはまっていて、その奥に知的な青白い光が2つみえる。


小さいロボットと大人のロボットはなにやら会話をしているようだった。

二人はうんうんとうなずきあうと同時にジュンのほうを見てきた。

大人のロボットが耳のようなものの後ろについているダイヤルを回してジュンに話しかけた。


「ξЭй⊿φ。」


「え?」


ジュンはわからないことを伝えるために首を傾げた。

ロボットはまたダイヤルを少し回した。


「ξЭй⊿φ?・・・Åθれではどうかね?」

なんとロボットは日本語を話し始めた。


「日本語わかるんですか!?」


「ふむ、この波長で良いみたいだ。ニノおいで。」

ニノと呼ばれたロボットは大きなロボットの前まで飛んできた。


「君、ちょっと待っててね。」

ジュンのほうを見て言うと大きなロボットはニノの耳の後ろのダイヤルも回しているようだった。


「あ、あ、きこえる?こんにちは!」ニノも可愛らしい声で日本語を話し始めた。


途端にとてつもない安堵感が押し寄せてきた。言葉が通じるってなんてすばらしいんだろう。同時に聞きたいことが頭の中に山ほど湧いてきた。


「ここはどこですか?」


「ここは機械魔法の国だよ。」


「機械魔法?」


「そう、ここでは機械が君たちのように命を持って暮らしているんだよ。」

ジュンがとまどいながらもロボットの言ったことを理解しようといると、ニノが元気な声で言った。


「この人はフォトン博士。僕はニノっていう名前だよ!」


「ぼくはジュンっていいます。」


「ふむ、ちょっと失礼するよ。ジュン君。」と言って目から青白いビームのようなものを発してジュンの身体を照らした。上から下に照らしてなにかを読み取っているようだった。


「ふむ。きみはニンゲンの男の子、11才、健康。地球からこちらに通じる穴を通ってこちらにきたんだね。絵を描くのがとても得意なんだね。そしてニノが落としたネジを拾ってくれたんだ。」


「すごい!なんでわかるんですか?あ、そうだあのネジは。」


「ここだよ!」ニノがネジを差し出して見せた。


「あれは君が落としたものだったんだね。」


「そうなんだ。エヘヘ・・。」ニノは気まずそうにフォトン博士のほうを見た。


「さっきもニノくんが言っていたのですが、機械魔法ってなんですか?」


「それを説明するととても長くなるんだよ。すまないが、先にネジを返してもらってもいいかね。あのマシンの完成に必要なんだよ。」

博士は後ろを指さした。ガラス張りのその部屋には乳白色の車のような形の、しかしタイヤはついていない流線型の乗り物が見えた。


「うわあ!すごい!」マシン好きのジュンは思わずガラスの前まで駆け寄った。


博士はジュンの感動してる様子に満足そうにうなずくと博士はニノからネジを受け取り、ネジをくるりと指で回して割れや欠けがないか確かめると、ガラス張りの部屋に入っていって、天井から伸びているアームにネジを持たせた。アームはウィーンと音を立てながらマシンの屋根の真ん中あたりにネジを指し、クルクルとネジを締めこんでいった。するとそのマシンはぼうっと内側から光りはじめて、やがてふわっと浮き上がり空中に浮いたままになった。


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