ヒストリー13 〜冬の足音〜
ネルソン邸宅内 小さな古屋
《レオ視点》
僕は5歳になった。
5歳にもなれば、みんなが僕の事を
どう思ってるかは感じられる。
みんな、僕を怖がってる。
理由は知ってるんだ。
僕の瞳が赤いから、みんな僕を怖がるんだ。
なんで?
瞳が赤いだけで何も変わらないよ?
誰も僕と喋ってくれない。
ママ以外は。
アイリ『やっぱりレオは文字書くの上手だね。』
レオ『うん!字を書くって凄く楽しい!』
ママは、読み書きや、歴史とか、数字を
色々と教えてくれる。
長い時には6時間以上勉強することも
あるんだ。
アイリ『レオ、勉強は楽しい?』
レオ『楽しいよ!見てよママ。』
僕はママに半年前に書いた文字の紙を見せた。
レオ『これが前に僕が書いた字、これが
今日、僕が書いた字、全然違うよ。
今日のほうが、字が綺麗なんだ。』
アイリ『ほんとだ。こんな綺麗な字を
書けるなんて、レオの心を写してるみたい。』
アイリが微笑んだ。
アイリ『でもねレオ。』
レオ『どうしたの?』
アイリ『勉強も、無理をしたらダメよ?
しんどいなら、休めばいいの。嫌なら
しなくていいの。』
レオ『楽しかったらいいんだよね?』
アイリ『うん。自分が楽しいのなら
それが一番いいのよ。ママの為じゃなくて
自分の為に頑張ろう。』
レオ『ママの為はいけないの?』
アイリ『もちろん、レオがママの事を
考えて、愛してくれてるのは
ママが1番知ってる。でもママは
レオが楽しんでる姿を見てるのが
何よりも幸せなの。』
レオ『そうなんだ。』
アイリ『うん!だからレオが自分の為に
楽しんで頑張ってくれてるなら
ママは幸せなんだよ。』
レオ『じゃあ、僕が楽しい事をしてれば
ママの為にもなるんだ!』
僕は笑った。
ママも微笑んでくれた。
【コンコン】
部屋のドアからノックの音が聞こえた。
アイリ『はい。』
使用人『奥様、少しよろしいでしょうか?』
アイリ『すぐに行きます。』
レオ『ママ、出かけるの?』
アイリ『うん。ちょっと待っててね。
もしかしたら
また鬼さんが探しに来たのかもしれないよ。』
ママが僕の頭を撫でた。
嘘だ。
かくれんぼもしてないし
鬼もいない。
知ってるよ。
ママは嘘をついてる。
でも、
僕を傷つかせない為の・・優しい嘘。
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《アイリ視点》
【ガヂャ バタン】
使用人『奥様。』
アイリ『噴水のところで話しましょう。』
アイリと、使用人は庭の噴水へ向かった。
使用人『奥様、体調はお変わりありませんか?』
アイリ『大丈夫よ、グレース。
心配してくれて、ありがとう。』
使用人のグレース『もうすぐ本格的な
冬が始まります。クリピオの冬は
とても寒くて、庭の古屋では、寒さを
凌〔しの〕ぐのは大変かと思い、
これを持ってきました。』
グレースは毛布と、服、暖をとる為の薪〔まき〕を
持ってきていた。
つづく。
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