ヒストリー12 つづき
【ガヂャ ギー】
アイリ『あなた、帰って来てくれたのね。』
アイリはベッドから体だけを起こして
赤ん坊を抱いている。
付き添いの使用人が、頭を下げて
部屋から出ていった。
ブラグ『あたりまえだ。こんな素晴らしい日に
仕事なんてやってられないだろう。』
ブラグはアイリの側に行き
ベッドの横の椅子に座った。
ブラグ『抱いていいか?』
アイリ『もちろんよ。』
ブラグは緊張しながら、そーっと
レオを抱っこした。
その手は震えている。
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《レオ視点》
レオ(パパだ。
パパが僕を抱っこしようとしてる。)
ブラグ『ほら、パパだよ。可愛いお顔を
見せてごらん。』
ブラグは震える手で、レオを抱き抱え
レオの顔をそっと、こちらに向けた。
レオ(パパ。)
レオは笑った。
ブラグ『・・・』
ブラグの表情が変わる。
レオ(とうしたのパパ?)
アイリ『あなた、どうしたの?』
ブラグ『・・い、いや、これが息子だと
思うと嬉しくて時間が止まってしまったよ。』
アイリ『この子が、私達の子供。宝物のレオ。』
ブラグ『そ、そうだな。』
レオ(・・違う。)
ブラグ『ちょっと、トイレに行ってくるよ。』
ブラグはレオを、アイリに抱かせた。
ブラグ『すぐに戻ってくる。』
アイリは頷いた。
レオ(パパは僕の事が嫌なんだ。)
アイリ『レオ、パパも仕事から急いで
帰って来たから、トイレも忘れてたのね。』
レオ(ママ、なんでパパは僕の事を
嫌がってるの?)
レオは泣いた。
アイリ『よしよし、
何か不安な事でもあったの?大丈夫よ。』
アイリはレオを抱きしめながら
背中を一定のリズムで優しく叩いて
頭を撫でた。
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《ブラグ視点》
トイレで、用を足したブラグは
洗面所で手を洗い、鏡の前で自分を見ていた。
ブラグ『・・なんなんだ、、レオの目、、
あれは確かに、、、』
ブラグは鏡から目をそらして
下を向き、つぶやいた。
ブラグ『〝紅の眼〟だった、、。』
ブラグ『・・間違いなく、〝紅の眼〟、赤い目、、』
ブラグは苦悩する。
ブラグ『・・』
苦悩。
ブラグ『・・まさか、、』
ブラグが下げていた顔を上げ、
また鏡に映る自分の顔を見た。
ブラグ『〝死神の呪い〟なのか・・
そんな、、私達に限って、、』
〝死神の呪い〟
この世界では、〝赤き眼(紅の眼)〟になって
生まれた者は〝死神の呪い〟の呪縛があり
その家族、一族、関わった者全てに
不幸と災(わざわい)いをもたらすという
言い伝えがある。
死神の生まれ変わりとも言われている。
また、赤い目を見てしまうと
呪いにかかるという、言い伝えもあるのだ。
ブラグ『そんな筈はない!レオは私達が
待ち続けた子供だ。〝死神の呪い〟なんて
信じるな。』
ブラグは水で顔を洗った。
掛けられているタオルで顔を拭く。
ブラグ『でも、私は、レオを、あの子を
心から愛せるのか?・・・私は何を言って
いるんだ!。自分の子供なのに・・。』
ブラグはトイレから出て
ふたりが待つ部屋に戻った。
つづく。
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