第9話 スキルジーニアスの力
「《スキルジーニアス》」
スキルを発動して感じられるものがあった。どうやら自らの魔力とやらを使ってスキルを作り出すことが出来るようだ。
「どうです?」
「魔力からスキルを作れるみたいですけど、魔力って俺あります?」
なければ全てが台無しになりそうだが……
「もちろんソラくんにもありますよ。何気に上級神に次ぐ地位もありますので、相当の力があるはずです!」
「え!そんなに力あるんですか?」
力があるに越したことはないからありがたいものだが。それも良く把握しなければならないだろう。
「あなたのクラスメイト全員でかかっても敵わないですよ!格が違いますね」
「おお、ちなみに剣神様に挑んだらどうなります?」
「今のままなら瞬殺されるでしょう」
流石にそれは難しいよなと思う。というか、剣神様は上位神だろう。格が違いすぎるのもあるだろう。
「流石に剣神様は強すぎるよぉ!」
とフィニーにも言われてしまう。
「ふふ、話が逸れていきますね。他愛無い会話もいいですが、スキルを使ってみましょう」
「はい」
とりあえず、感覚で出来そうなので思いのままにやってみる。すると、突然手が光を放って驚いてしまう。
「うぉ!」
「眩しい!」
ソラとフィニーが目を開けると、ソラの手の上には一枚のカードが置かれていた。なんだろうか?と思いながら見てみるとカードにはスキル〈剣術〉と書かれていた。
「出来たみたいですね。拝見しても?」
「はい、どうぞ」
両手でカードを持って礼儀正しく転移神に渡す。クレジットカードでも渡しているような気分だ。
自分が作り出したスキルはカードになるようだ。多分、カードを使用することでスキルを得ることが出来るのだろう。
「ふむふむ、確かにスキル〈剣術〉ですね。それにカード型というのもオシャレです」
「あれ?スキル創造神はどんな感じでスキルを作ってたんです?」
「ああ、彼ならカードじゃなくて石でしたね。持ち運びに不便なんですよ。まあスキルを持ち歩くこと自体稀ですが。ソラくん、センス良いですよ!」
「ありがとうございます」
スキル創造神には申し訳ないが、良いことなのだろう。最高神なんかに提出する時もオシャレな方が喜ばれる可能性もある。
「これは、ぜひソラくんが使ってください」
とカードを返してきたのでありがたく受け取る。
受け取ったカードを持って、自分がスキルを得るイメージを考えているとカードが消失しす。
「お、〈剣術〉スキルゲットか」
「そうですね、所で狙って〈剣術〉スキルを作ったんですか?それとも特に何も考えずに?」
「あー、考えてなかったかもですね」
「あれ?さっき剣神様の話してたから、それで〈剣術〉のスキルにしたのかと思ったよ!」
フィニーの意見になるほどと頷く。
「もしかすると、無意識にそう考えたかもしれません。でもだとすると……」
「ソラくんは、自分が考えたスキルを作り出せるかもということですね。実はスキル創造神は、長い年月をかけて道に逸れながらスキルを作成してきました。あなたの力は彼を超えているのかもしれません」
神の力を超えている。そう言われると悪い気はしない。だが、その分自分が大変なことになりそうだが……
「そぅだ!私にも何か作ってよぉー!」
ぴょんぴょんと飛びながらフィニーが羨ましがっている。折角だからなにか作ってやるかと思いながら聞いてみることにする。
「まあ、良いだろう!てか、フィニーもスキル使えるんだよな?」
「ええ、魔法のスキルも持っていますので可能ですよ。作ってみてくれますか?」
そういえば、ベッドの下の〇〇本を探す時もライトと言って照らしていたなと思う。
「フィニー、欲しいスキルはあるか?」
「うん!〈最強〉」
言われてポカンとしてしまう。
「フィニー、そんなスキルあんのかな?」
「ソラくんに無茶を言ってはいけませんよ?」
流石に自分が無茶を言ってしまったと思ったらしいフィニーは、頭を掻きながらがっくりしたようだ。
「他のを考えるわ!」
「ははっ、まあ無理だけどやるだけタダだからやってみようか」
なんて、軽いサービス精神のような感覚でスキルを使ってみると……光った。
「お、なんか出来た。フィニー、最強ってのは出来なかったけど〈無敵〉だったら出来たぞ?」
手に持ったカードを見ながらソラが答える。
「なんですって……」
これまでにない驚いた表情をしている転移神の顔を見て、それはすぐに悟った。
「あー、俺やっちゃいましたね」
食堂に静かな空気が流れるのだった。
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