穴があった。何もない白壁のど真ん中に、ひとつ。

「何だこれ」

人は穴があれば覗きたくなる生物である。私もまた、刻まれし本能に抗えぬ一人だった。

穴の中は一面の黒。ライトの光を当てればそこはキラキラと光る。あれが欲しい。

私は躊躇わず穴に指を入れた。


瞬間、絶叫が轟いた。

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