凶悪犯罪者が現れた! (表)

今僕は二人の能力者と対峙している


ん?またレート戦にでもなったのかって?違うな、どちらかいえばその方がマシだったかな…


「へん、余裕そうじゃねえか、さすがは噂の無能力様だなぁ」


「ふん、い、今のはまぐれさ、次で終わらせるよ」


今僕は訳のわからない二人組に襲われているーーー




きっかけは僕が学校の敷地内を散歩している時だった

天気は快晴という言葉がふさわしい雲ひとつない晴天だ


「はぁ、また勘違いが深まっちゃったなあ」


こんなんじゃいつか面倒なことになるよなぁ

なんてことを思っていると、僕の頭のすぐ横をビームが通り過ぎていった


(はい?)


すぐさま背後を振り向くと


「ちっ、外したか」


二人組の男が立っていたというわけだ



とりあえず現状を整理しよう、おそらく二人は不法侵入者で僕のことを狙っている

一人は何故か柱の上に立っているが…なんでそんなとこに立ってるんだ?

で、ここまでのことをしてまだ誰も来たりしていないことから能力が働いていると考えられる

そして、さっきのビーム、聖内学園に侵入してくることからそれなりに実力があることがわかる


(あれ、やばくね?詰んでないかこれ?)


助けが来ないということは僕一人でこの状況をなんとかしないといけないということだ

その上僕は武器らしい武器も持っていない


とにかくなんか話して時間を稼がないと…


「へぇ、僕を狙いに来たのかい?」


「そうさ、あんたの首には多大な賞金がかかっている、正直言ってこんな一人のガキにかけるとか正気の沙汰とは思えないが…あんたにも心当たりぐらいあるだろう?」


「ふ、ないわけじゃないがな」


ねぇよ!いつの間に僕は賞金首になったんだ?誰だよそんなことしたの?


「まぁ、おしゃべりはここまでだ、俺はあんたを殺して名を上げさせてもらう」


(やばいやばいやばいやばい!)


逃げよう!早く…、って体が動かない!

あのヒヒヒヒ笑ってる奴の能力か!?なんて小癪な…


太陽を雲が隠し、あたりが影に包まれる


とにかく!とにかく時間を稼ごう!

どうやら僕の秘技を見せるしかないようだな…


「お前、気づいてないのか…愚かな奴め」


「なんだと…?」


秘技1 意味深な発言!


それっぽい発言をして深読みをさせる!

頼む!バレるな!深読みしろ!


「ど、どうせでまかせだよ!こんな奴!」


バレたぁぁぁぁ!普通にバレた!黙っとけこのチビ!


「少しは骨がありそうだと期待してたんだがな、所詮は噂か」


やばいやばいやばいやばい!


雲が空一面を覆い雨粒がポタポタと降り始める


「言っておくが助けは来ないぞ、こいつの能力の上に雨が降り始めたせいで視界も悪い、救援が来る確率は絶望的だ」


ふざけんな!さっきまでめちゃくちゃ晴れてただろ!なんで急に降り始めんだよ!僕天気にまで嫌われてんの?


「では、さらばだ」


男はビームを溜め始める、いかにも威力のありそうな見た目だ


あぁもう!とりあえずなんか言っとけ!


「そんなところに立っていて大丈夫か?」


「最後の最後まででまかせを…消え去れ!」


(あ、終わった…)

その瞬間ーーー



ビシャアアアン!



ちょうど二人の頭上に二つの雷が落ちてきた、そしてそれは見事に二人に命中し、


「な、なんだ…と…」 バタっ


「う、嘘でしょ」 バタっ


二人とも倒れてしまった

その後起き上がる気配はない、完全に気絶しているようだ


「助かったのか…?」



$ $ $ $ $


その後、二人の不法侵入者は後から来た職員達によって連れて行かれた

どうやらあの二人はBランク能力者とAランク能力者の凶悪犯罪者だったらしい

さらにBランク能力者の方は複合能力者で二つの能力を持っていたらしい

ちなみに複合能力者とは複数の能力を持っている能力者のことを言う


その後は学園長や職員から謝罪をされ、今日は一旦寮に帰った


「はぁ、運良く生き残れてよかったぁ」


まぁ、今回の件で色々お礼をしてくれるらしいし、さっきお詫びとして高級食材貰っちゃったし怪我の功名かな?


「ん?なんか大事なことを忘れているような…、気のせいかな?」



もちろんこの出来事は、武がAランク能力者とBランク能力者の極悪犯罪者を倒したという内容で尾ひれはひれがついて瞬く間に広まることとなるのだが…


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る