中編
本題はここから。長くなってすまない。最近の俺は、性交渉の残滓を吸っても物足りなくなってきた。
最初のうちは、これまで経験したことのない極上の快感を得られたのは間違いない。それでも体というのは不思議なもので、次第に快感に慣れ、飽きてしまうのだ。もっと強い刺激が欲しくなってきた。
俺は悩みに悩み抜いた。人間にとって、性交渉以上に快感を得られる行動があるのだろうか。
様々なサイトを閲覧し、情報を集め回った俺は、あるニュースにたどり着いた。
女性連続殺人。
最近、都内を中心に発生している殺人事件。女性のみをターゲットとしており、わかっているだけで3件、犯行の手口から同一犯によるものだとされている。
その手口というのは、公園の男子トイレに女性を連れ込み、個室の便器に座らせた体勢で、首を絞めるというもの。犯行は素手か、ビニール紐のようなもので行われていたそうだ。
この殺人犯は、何のために殺し続けているのだろうか。いや、数多くの残滓を吸引し、多くの人間の感情に触れてきた俺ならわかる。コイツは常習者。殺人の快楽に魅せられ、殺しから抜け出せなくなっているのだ。
この犯人を見下す?卑下する?一般人ならするだろうけど、俺は違う。コイツの気持ちを知りたくなった。
人を殺すことでどんな快感が得られるのか。そう、コイツの残滓を吸ってみたいと思うようになったんだ。
強い殺意と連続性。それらを考慮すると、犯行現場には殺人犯の残滓が生まれているはず。
過去3件の現場を調べるのは簡単だった。しかも全て公園のトイレで行われているから、入るのも容易い。
まず俺は、家から1番近い現場に向かうことにした。
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深夜0時半。都内某所の〇〇中央公園。
大きな公園だが、園内のどこかのトイレの個室内で犯行が行われたはず。俺は片っ端からトイレを回り、個室の扉を開けていった。
あった。公園の東側にある男子トイレ、入り口から3番目の個室に、男性の残滓が残っていた。茶色のトレンチコートを着た、身長180cm近い男性。目出し帽を被っていたようで、顔はわからない。前屈みになり、両手で何かを掴んでいるようなポーズを取っている。
俺は心臓が高鳴るのを感じた。頭より先に体が感じ取っていた。ここに最高の快感があることを。
俺はゆっくりと殺人犯の残滓に重なった。
脳天から爪先までを風が突き抜けるような感覚が襲う!全身の疲れが体から剥がされていくようだ!脳の奥をハンマーで叩かれたような重い感じもあったが、それが心地いい!まるで体が光輝いているようである!
これだ!これまでと比較にならない快楽!
殺人犯はこれを感じていたんだ!やめられない!こんな気持ちのいい感覚を味わったら抜け出せなくなってしまう!
俺はこの殺人犯の残滓を追うことにした。
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2件目も、3件目も、公園のトイレ内に残滓があった。残滓を吸うことで快感を得られただけでなく、この殺人犯がなぜ凶行に及んだのか、その理由までわかってきた。
コイツは、幼少期から親に虐待されてきた。特に母親からの虐待が酷く、私立の小学校に落ちてしまったことを理由に罵られ、体罰を受けてきたようだ。それが女性に対する恨みを生んだ。
さらに思春期になると、容姿のことで学校の女子から毛嫌いされた。そのことから自分の顔にコンプレックスを持つようになり、女性に対する恨みはさらに強まっていった。
つまり、コイツは女性に復讐しているのだ。ターゲットは誰でもいい。とにかく女性を狙い、殺すことで、自分の過去を精算しようとしている。強い動機があるからこそ、殺人が快感につながっているのだと、俺は気づいた。
そうしている間にも、コイツは殺人を重ねていった。4件目、5件目、6件目……なかなか捕まらないコイツは、日本中を震撼させる存在になっていた。ネットでもテレビでも、毎日コイツの話題ばかり。
この風潮は、俺にとって追い風だった。コイツは自分が日本でも例を見ない殺人犯になりつつあることに歓喜している。そして殺人を重ねるごとに、快楽だけでなく達成感も覚えている。コイツの悦びが増すほど、俺が吸引する残滓の「質」も上がる。
上質な残滓を味わい続けた俺は、すっかりコイツの虜となっていた。
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大学の授業が終わった15時頃。6件目の犯行現場である公園に向かった。
いつも通り男子トイレの個室を開けると、そこに便器の方を向いて立っている人がいた。長い黒髪に華奢な体型。背後からでも女性だとわかった。
俺は咄嗟に、
「ここ、男子トイレですよ!何やってるんですか!」
と大きめな声を出した。
女性は黒髪をなびかせて振り向いた。切長の目をした、かなりの美人。年齢は俺と同じくらいか、2〜3歳上といったところだろうか。
「あら、ごめんなさいね。女子トイレが空いてなくて。どうしてもトイレを使いたかったの。」
女性は小さな笑みを浮かべている。
「いや……まぁ、別に、俺も警察とかじゃないんで、何も言う権利はないんですけど……」
「ところで、アナタは何をしに来たの?」
「何って、トイレをしに……」
俺は重大なことに気づいた。ない。殺人犯の残滓がない。この公園内の他のトイレは全て確認した。残りはこの個室だけのはず。
「……アナタもそうなんでしょ?サイコメトリー。最近話題の連続殺人犯の残滓を吸いに来た。違う?」
女性は冷たい刃を向けるような口調で俺に質問を投げかけた。図星をつかれ、俺は何も言い出せなかった。ただオロオロするしかなかった。
「その反応……やっぱりそうね。じゃなかったら、他のトイレが空いてるのに、入り口から1番遠いこのトイレをわざわざ選ばないもの。でも残念。ここの残滓は私が吸引しちゃった。アナタだけじゃないのよ。サイコメトリーが使えるのは。」
「あんた……一体……?」
「殺人犯の残滓は最高よね。普通じゃ味わえない極上の快感が得られる。私もアナタと同じで、殺人犯の残滓を吸うのにハマってるの。この殺人犯の他の残滓は、誰かさんに吸われちゃったみたいだけど。」
はぁ……はぁ……はぁ……
俺は自分の呼吸が荒くなるのを感じた。興奮しているのとは違う。強い不安と苛立ちが心を侵食していく。
「……アナタ、中毒になってるわね。禁断症状が出てる。これまでに山ほど快楽を味わってきたと見えるわ。それが奪われてしまった今、どうすればいいかわからず混乱しているようね。」
ここにあったのは、本来俺が吸うべき残滓だ。それをこの女が奪った。俺のものなのに。俺が最初に見つけた残滓なのに。
「悪いことしたわ。もし禁断症状が止まらないようなら、私に連絡して。医者に相談しても無駄よ。薬で解決できるものじゃないから。」
女は持っていたカバンの中からメモ帳とペンを取り出し、電話番号を書いたページを引きちぎって俺に渡した。
「ちなみに言っておくと、サイコメトリーができるのはアナタと私だけでもないの。人に言ってないだけで、使える人は世の中に大勢いる。残滓は奪い合いなのよ。」
女は高笑いしながら俺を軽く押すと、個室から出てトイレを後にした。
なんだあの女は。俺の残滓を奪いやがって。いや、あの女だけじゃない。俺と同じ力を持つ奴は全て敵だ。他の奴らを出し抜かなければ、最高の残滓にはありつけない。
家に帰った俺は、テレビやニュースサイトをかじり付くように見続けた。あの殺人犯がまた犯行に及べば速報が入るはず。すかさず現地に向かい、残滓を吸引してやる。
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同日の夜、速報が入った。家のテレビからけたたましい音が流れる。画面の上部には「女性連続殺人の容疑で三国浩二容疑者を逮捕」という文章が表示されていた。
俺は目を疑ったが、何度見ても「逮捕」という文字に間違はいない。
俺は混乱した。逮捕されたということは、もうアイツの残滓を味わうことができないということだ。最高の残滓を。これまでにない残滓を。
大好物が二度と食べられないなったような感覚だ。こんなの酷すぎる。
何でだ。何で捕まってしまったんだ。俺はまだ吸い足りない。もっともっと、できれば永遠に吸っていたい。
もうカフェやホテルにある残滓では満足できない。あの味を知ってしまった今、俺には普通の残滓では物足りない。
アイツがいなきゃダメなんだ俺はこのままじゃ死んでしまうかもしれないどうすればいいんだ体がむず痒い寒いのに汗が出てくる熱い風呂に浸かっても凍えが止まらない何で捕まってしまったんだおれはどうすればいいなにをすればたすかるこのままがまんしながらいきていくのはむりだたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてこのくるしみをとりのぞいてそれができるのはあいつのざんしだけだったのにらなんでつかまってじうなを端子ぉ日ぬそ負けよ火」日では見てそこで「ここぬ「目わやょやゆるぼ。かの屋根「田の湯小屋かの飲むのんょの輪の小寺まなまほ弥子「あののく」リナやお湯やて生て「手やひつ奈良はホタテラナ「テヒむね保ゆかて寝ぬね色衣や傘し和えさねゆけりぬたお屋根らリコ乗るわ「タメリー?化の月とこは野谷向け小屋暇夜の麻痺やそやな過去行け保「こ保行け油お湯手しなり粉」に愛塗らら「目よぬはひてほめのてそ「てほねにまそんみけやめまゆあとめのほにこなのけやのぬほるのなこてやねやめふにこなやこなこゆなのめそてこやぬろてほ」ぬのなやそそきてのむは「ねのねやの」そゆほねゆこのてんそのおはふそたここのなさゆこゆやむけそゆこねはのそひてしまめやのら「なやきとやなむほらきたやにたほ「なえかおきこおほほふそーるきのりとののこよりこり、。よよ、「よりのよののね?「のんおろ?のの、ほよ?とよろそこよりゆ「ここのわりおのこけろりことーろしおゆこも
俺はあの女に電話をかけた。
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