ゲーム音楽はお好きですか?

紅灯空呼

01. ワンピース

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 音楽は好きなオレだが、楽器の演奏は苦手で歌も下手くそ。

 それでも高校の芸術で音楽を選んじまった。ミスった感が否めない。

 オレ、ギターなんか触ったことはじめてで、なかなかできない。あと1週間したら、演奏の実技テストがある。超つれーぜ。


 で、今日サボり決定。

 屋上のベンチに座って、携帯型ゲーム機でアクションゲームをやってる。

 女忍者のお色気バトルで、服がビリビリに破れるのが売りのやつな。


「むほぉ~、歌楽カガクちゃん、桃色パンツ、ごっつぁんです!」

「あらま、かわいい桃色パンツですね」

「どぉ――っ、ひゃーっ!!」


 と叫ぶしかなかった。

 オレの背後を取るとはやるじゃねえか、姉ちゃんよ。とか思って、振り向くと見たことのない女が立っていた。白いワンピース姿。


「誰だよ、お前。つーか、ここ学校だぞ。なんで私服なんか着てるんだ。学年とクラスとスリーサイズを云え。そしたら許してやろう。あと名前もな」

「2年はてな組、バスト78、ウエスト52、ヒップ76、カガク桃パン子」

「はてな組ってなんだよ。つーか名前、絶対ウソだ。100万円賭けてもいい」

「ワタシ、明日転校してきますの。ここの制服は今日受け取るのよ。2年生なのだけど、まだクラスは知らないから。あと名前は芸名ってことで。実名は内緒なの」

「そうか。だがしかし、せめて前の学校の制服でこいよ」

「前の学校、私服オーケーでしたよ」

「それでそんな夏の少女みたいな姿できたのか?」

「はい。だって夏の少女ですもの。今は夏だし、ワタシ17歳の少女だから」


 顔はまあまあ可愛い。なんとか坂の、なんとかなに子に似てる。正確なグループ名と名前を覚えてはいないが、オレ好みのやつな。

 スタイルも、オレ的基準でなかなかのハイレベルだ。本人が云ったバスト78、ウエスト52、ヒップ76というのは、たぶんマジ情報だろう。

 で、この屋上は風がめっぽう強く吹く。

 それで少女が叫び声をあげる。


「あぁーん!」

「おっ!!」


 白いワンピースの裾が激しくめくれあがっている。


「お前、マジで桃パン子なんだな?」

「えっち」

「ワンピース大正解、最高だぜ」

「ズボンをはいてくるべきでした」

「いやいや、ワンピースだろ。そういうめくれ易いやつな」

「えっちです」

「オレ17歳の少年だから」

「ふぅん。それで昼間からそんな、すけべなゲームやってますのね?」

「まあな」

「ふふ」


 17歳の少女がかわいく笑っている。

 サボりも大正解だ。超ラッキーだったぜ。

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