第5話 交易の妨害
ハルトに届いた手紙には一文だけ開戦理由が書いてあった。
みるみるハルトの顔から血の気が引いてくる。
【交易の妨害をしたから】
(な、なんじゃそりゃああああああああああああああ!)
「…………全く身に覚えが無いんだが?」
(え? 俺、なんもしてなくね?)
そもそも、交易をする話は全く知らない。むしろ、今知ったぐらいだ。ハルトは一方的な文面に困惑すらしている。
「大体前提として、交易の妨害なんて力が無いウチに出来るわけないだろ…………」
突然の事態に混乱するハルトだが、なんとなくスカイアロー公爵家を思えばわかる気がしてきた。
海路からの貿易品を王都に送るには自身の領地だけで通るには山越えをしないといけない。
エッグラース家はイーストウッドの中心地にあり、交流が盛んではあるが、南方から王都に向かうだけなら東にある街道を通れば問題ないはずだ。
確かに交通の便を考えると、エッグラース家を通ったほうが楽かもしれないが、他領を通るには関税が掛かる。
更に言えば荷物チェックなどめんどくさい作業がある。
(そうか! 南東の土地から移動するだけならエッグラース家を通ったほうが近いか)
そう、スカイアロー家は最近領土が南東に出来たのだ。
しかも、飛び地になっているため他家を通らないといけないというのも事実。
「………スカイアロー家が南東の領地いくつか合併したから、あいだに居る俺たちが邪魔になったか」
「……さようでございますか」
ちなみに、最近王都の方で異変があり、いくつかの貴族が粛清されたのだ。
位が多少低くても、そもそもが勇者の家系が名門貴族になるわけだから、血筋で納得がいかない連中が多いのも事実だった。
没落した領地は王家直轄地になるのだが、かなり遠方になるのと、いくつか公爵家であるスカイアロー家に割り振られたという話をハルトは聞いていた。
――確かに、間に存在してるだけで妨害しているとも言えなくもない、
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