レムリア・ワールドの童話
仲仁へび(旧:離久)
第1話 朝の騎士の物語
その剣は悪を滅する為の物。
その剣は弱き者を助ける為の物。
その剣は正義であり、
その剣は力であった。
剣を持つ者の名は、朝の騎士。
それは夜に沈む世界に朝をもたらす正義、一人の青年の物語であった。
昔々、ある所にごくごく平凡な少年がいた。
少年には立派な騎士の父と、優しい母親がいて、日々を幸せに過ごしていた。
だが、ある日、その生活はあっけなく失われてしまう。
魔物の牙にかかり母親が倒れてしまったからだ。
その時に少年は、父の剣をとり誓いを立てた。
この世界は魔物に蹂躙されし世界、人々が真に笑う事の出来ない夜の世界である。
ならば、そこに朝をもたらすまで。
少年は剣をとり魔物と戦い続ける。
日が経てばその少年は、強く逞しく成長していく。
剣を手に、魔物を幾重にも葬り去り、世界を少しずつ希望で満たして明るくしていった。
そんな少年を支えるのは、神から与えられし力……聖なる癒しの力で人々の傷を治す白き巫女、そして魔獣でありながらもその牙を少年の為に使う黒き聖獣。
少年はいつしか世界中の人々から希望と呼ばれる存在、朝の騎士となっていた。
かず、数えきれぬほど魔物を倒した朝の騎士は、とうとう世界に混迷をもたらした元凶……夜の魔女とまみえる。
三日三晩に渡る戦いの末、朝の騎士は勝利を収めた。
明けぬ世界に朝の光を。
剣を掲げて勝利を告げる朝の騎士に、人々は喜んだ。
人々は長くこの少年について語り継ぐ事を胸に誓った。
後に勇者と呼ばれる事になる少年……一人の騎士の物語を。
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