あくる日

あくる朝、お満は相楽の背に覆いかぶさったまま寝てしまったようで、

しまったと思いながらはっと目を覚ました。


その衝撃で相楽も目を覚ましたようで、お満を見て目を丸くすると、

直ぐにお満を布団に引き込み、自分は急いで体を起こした。


「子がある身で何をしている。よもや一晩中その薄着でいた訳ではあるまいな?」


少し眉尻を上げて怒っているようだ。


お満がドギマギとしていると暫く寝ているように言い聞かせて、自分は厨に向かってしまった。



いつもと逆のようだ。




相楽は料理が出来るのだろうかと疑問に思いながら、言われた通りに二度寝をすると、

いつもはお満が用意している膳の上に一番大きな椀を乗せて戻って来た。


そこにはあまり色の良くない煮溶かされた米が入っていて、

何か根菜と共に作ったらしい灰色の粥のようなものが出てきた。


折角の米が勿体ない。


だが相楽の気持ちが嬉しかったので、異臭を放つ粥に卒倒しそうになるのを何とかぐっとこらえた。


米とぎの仕方も良くは知らないのだろう。


少しばかりぬか臭い。


相楽の方をちらりと見れば、

「我とて戦場で飯を煮炊きすることはあった。」

と言って澄ました顔をしている。


一口食べると案の定の味で、しかも塩を入れすぎたのか塩っ辛い。


お満は戻しそうになるのを耐えながら、なんとか飲み込み、

「美味しゅうございます。」

と伝えた。


相楽はそれを聞いて嬉しそうな顔をしたが、

同じ物を自分も口にすると真顔になって、

「無理をするな。婆殿を呼んで参る。」

と言って、すたこらと止める間もなく婆様を呼びに出掛けてしまった。





お満はそんな相楽が可笑しくて可愛くて布団の中でうずくまってくすくすと笑ってしまった。

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