通じる
おミツが頑なに離れようとせず、しがみついていると、
頭上でふっと声が聞こえ、置かれた手が優しく動き出した。
頭を撫でてくれているようだ。
そっとおミツの顎を掬い上げて目を合わせてくれる。
落ち着いて正面からしっかりと目を合わせたのは初めてかもしれない。
遠いどこかを見ているようにも見えるが、とても優しくおミツを見つめている。
黒目におミツの泣きっ面が映っていた。
「我は最期に幸せを手にしてしまっても良いのだろうか。」
喉が張り付き、聞こえるか聞こえないか程にかすれた声だったが、
相楽がこう言ったのがおミツにも分かった。
相楽の胸の中で頷き、寝間着からゆっくりと指を解いて背中に腕を回すと、
相楽はおミツを優しく抱き寄せ、布団へと招き入れてくれた。
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