大泣き

ちらりと見ると、布団の中から死んだような力のない目で相楽がじっとこちらを見ていた。



その視線が何故か余計な事をと責められているようで、目をそらしてしまったが、先に相楽が話しかけてきた。





「迷惑を掛けたな。女子(おなご)が体を冷やして大丈夫か。そこに我の羽織があるので・・・。」


喉が張り付いたようで言葉が継げなかったようだ。


喉の辺りを気にしているのが見て取れる。


下賤な者に対してどこまで優しいのだろうと思う。


自分があんな目にあってもおミツの事を気にしてくれる。


「そんな。そんな相楽様こそお身体は・・・。」


半泣きのお蜜を見て、驚いた顔をすると、

「すまぬな・・・。」

と言ってふと笑った後、ゆっくりと肘をついて体を起こし始めた。


慌てて体を起こすのを助け、水を飲ませる。


「少しお待ちくださいませ。朝餉を作って参ります。」

と言っておミツは急いで飯を炊きだした。


急いで緩い粥を作り持っていくと、相楽はもう起き上がり、鍛錬用の刀を既に携えていた。


おミツは悲鳴を上げて止めようと相楽の前に立ちふさがる。


「お止め下さい!そのようなお体で!死んでしまいます!!!」


ボロボロと泣きながら止めると、相楽の目がぐるりと回り、やっとおミツを捉えた。


どうやら無意識の内にいつもの鍛錬に出ようとしたらしい。


驚いた顔をすると、

「ああそうか。朝餉だったな。」

と軽く笑い、大人しく居間へと戻りすっと座った。


それでもどうしても体が辛いらしく暫く粥を食べていて、

茶碗を置いたと思うと、ぐったりと床に倒れこんで眠ってしまった。





寝床に相楽を運び込んだ後、おミツは傍らで大泣きした

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