第5話 合流するよねぇ
サーシャさんとミーシャは一度応接間から出ていったが、しばらくして戻ってきた。ミーシャさんの色気が一段と増して美しくなった気がする。たぶんお土産の下着に着替えたのだろう。
俺はメイと一緒にシルモフを堪能していたのだが、気にした様子もなくサーシャさんは笑顔のままだった。お土産の効果が出ているようで安心する。
以前もサーシャ家で快適に過ごすためにサーシャさんの機嫌を取っていた。今度は開拓村で快適に過ごすために、村長であるサーシャさんの機嫌は以前より大切だ。
遅れてミーシャの家族もサーシャ家にやって来たが、サーシャさんが誤解のないようにミーシャとの関係も説明してくれた。すぐにミーシャの母親を応接室から連れていったが、すぐにご機嫌な母親と戻ってきた。
母親にも下着を渡して着替えさせたのだろう。
やはりミーシャやサーシャさんの母親である。見た目も若返り、色気も増したようだ。3人の子持ちとは思えない。父親や兄も驚いた表情で見ていた。
今晩の夕食はミーシャの家族も一緒に食べることになった。サーシャさんが家族にミーシャの状況を説明してくれた。話の中で驚いたような声が聞こえてきたが、俺は気にせずメイと遊んでいるだけだった。
ようやく一通り説明が終わったのか、家族がミーシャに色々と質問していた。ミーシャの簡潔な答えに父親と兄はは困った顔をして、サーシャさんと母親は笑顔で話を聞いていたのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
そろそろ夕食かなと思っていると、さらなる混乱が姿を現した。
「今度は本当にすぐに来てくれたのねぇ~!」
約束だったから来るとは思っていたけど……。
「あっ、あっ、ああぁ~、土地神様だぁ~!」
メイが嬉しそうに
ヴィンチザード王国ではこんな辺境でも、
「あら、可愛らしいお嬢ちゃんねぇ。私のことを知っているようで嬉しいわ」
「メイはもちろん知ってるのぉ。だって、あっ、ちょっと待っててぇ!」
メイは
「いつもの
たぶんそうくると思っていた。だが固まっているミーシャの家族の前で言われるとまた誤解されそうで怖い。
「構わないけど半分にしてください……」
アンナに助けを求めたかったが、
「こ、これを見てぇ~!」
メイが手に何かを持って戻ってきた。内心でホッとしながらメイの手に持つものを見る。
えっ、
「あら、それは限定グッズの等身大フィギュアじゃない! 価格も金貨百枚もするし数も少ないからレアものよ。よく手に入れたわねぇ~」
何をしているんだぁーーー!
等身大フィギュアの限定グッズとか驚きである。
「パパがプレゼントしてくれたのぉ~!」
メイは嬉しそうに答えていた。ランガがそれほど気の利いたプレゼントをするとは驚きだ。でも価格を聞いてサーシャさんは目を細めている。
ランガはサーシャさんに金額は話していないか、嘘の金額を伝えたのだろう。戻ってきたときのランガの運命を考えると気の毒になる。
「ふふふっ、大切にしてね」
「大切にしているのぉ。メイの一番の宝物なのぉ~!」
メイはブンブンと首を縦に振って
「そうなのね。……テンマ君、メイちゃんの祝福をしたいから、
祝福?
くぅ~、不意打ちで吸うのはやめてくれ~!
半分と言ったのにそれ以上に吸われた気がするぅ!
虚脱感が無くなると自分のステータスを確認する。八割ほどHPを吸われたようだ。アンナがいないと俺には
「敬虔な信者であるメイリンに祝福を!」
なんだとぉーーー!
メイに変なことが起きていないか心配で鑑定する。称号に『土地神の祝福』があり運が5も上がっていた。運は訓練では増やせない。祝福イベントが必要だったのだと初めて知った。
「土地神様ぁ、ありがとうなのぉ~!」
メイは具体的に自分に何が起きたのか知らないようだ。光が自分に降り注いだことが嬉しかったのか
ミーシャ「これでメイも私と一緒」
エアル「私とも同じなのじゃ!」
なんですとぉーーー! ミーシャやエアルにも祝福イベントを!
なんか俺は吸われるだけで、祝福イベントがない気がするぅ~。
あとで聞いたが
まあ、俺も驚いたがサーシャさんを筆頭にミーシャの家族はもっと驚いた様子だ。
俺は大きく息を吐くと、もう隠しても仕方ないと開き直る。問題が起きなければそれほど気にすることでもない。
暴走する仲間に囲まれてきたことで、最近はそう思うようになったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
夕食にはオークカツを始め、醤油ダレの串焼きや生姜焼き、カニなどの海産物も遠慮なくふるまった。
ミーシャの父親と兄は緊張して食欲がないみたいだ。サーシャさんや母親はすぐに
メイはエアルや
もう完全に友達だよ……。
色々な意味で
俺はタコ焼き魔道具を使ってタコ焼きを焼きながら、そんなことを考える。
「お兄ちゃんは料理もできるのぉ~。すごいのぉ~!」
メイが喜ぶ姿を見られるならそれで充分である。
「ほら、焼きたてだよ。火傷しないように注意して食べて」
メイたちに焼きたてのタコ焼きを差し出す。
エアル「マヨを多めに頼むのじゃ!」
メイ「マヨ?」
エアル「この白いのがマヨじゃ。濃厚でありながら酸っぱさもあるのじゃ!」
メイ「へぇ~、エアルちゃんは物知りなんだね?」
エアル「そうじゃ。私は物知りなのじゃ!」
エアルとメイは同レベルの会話をしているぅ~。
どう見ても同じ八歳の子供にしか見えない!
「タコ焼きは顔が火傷しちゃうわ。テンマ君、私にあった大きさのタコ焼きを作ってぇ~」
う~ん、
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