第18話 純粋なスケベ心?
俺っ
それに今から拷問膝枕なんだよなぁ~。
灼熱の太腿など拷問としか思えない。アンナ的下着を着けたリディアを想像した自分が恥ずかしくなる。
リディアはドラゴン! ドラゴン! ファイアードラゴン!
心の中で呪文のように唱えながら、ドラ美ちゃんの姿を思い浮かべて反省するのであった。
「ほら、これから初体験だからって、恥ずかしがらないの!」
くっ、アンナの発言は無視しよう……。
リディアは恥ずかしがって、アンナの後ろに隠れるように上半身だけ出していた。そして、アンナに引っ張られて前に出てきたリディアを見て、ほんの少し前の反省を忘れてしまった。
えっ、ええ~、凄くアリじゃん!
メイド服とは思っていたが、スカートは短く足は生足だった。鍛えられた太腿は肉感的で、恥ずかしがって内股なっている。そして必死にスカートの裾を両手で下に引っ張る姿は、普段の俺っ
「正式な膝枕、それも初膝枕なら感触をお互いに味わうために、生足は必須です!」
え~と、アンナさん、あなたは何を目指しているのかな?
それはともかく、少し前の事は全て忘れて、俄然やる気になった!
「うんうん、恐がらなくても大丈夫だよぉ。ほら、ここに座るだけだから、大丈夫だよぉ~」
優しく声を掛けようとしたら、まるでスケベ中年オヤジみたいな感じになってしまった。ソファの一部をポンポン叩く姿もダメな気がするぅ。
「は、初めてだから、や、優しくしてください……」
くぅ~、こりゃあたまらん!
リディアが消え入るような声でそう話すと、ソファの端にちょこんと腰を下ろして座った。
「だ、だ、大丈夫、や、優しくするからね」
するとリディアは顔を真っ赤にして頷いた。
それを見て抑えられない俺は焦らないように、ゆっくりと、ゆっくりとリディアの生足太腿に頭をおろしていく。
そして、太腿に頬が触れる瞬間に力を抜き、頭の重みでリディアの太腿に膝枕ランディングを決めた。
リディア「あふぅ!」
ジュウゥゥゥゥゥ。
テンマ「ウギャァーーーーー!」
太腿は思った以上に柔らかであった。それが溶けた鉄のように熱くなければ最高だっただろう。
太腿に包まれた俺の顔半分が灼熱の高温で焼けている。なのに完全に力を抜いて太腿に膝枕ランディングしたことで、すぐに起き上がることができない!
初膝枕したことでリディアは感動したのか変な声を出して惚けている。
「お、愚か者ぉーーー!」
アンナの叫び声が遠くから聞こえる。焼ける顔の音で良く聞こえないでしゅ~!
「えっ、あっ、ごめんなさい!」
ジュウゥゥゥゥゥ。
「ウギャァーーーーー!」
アンラッキースケベェェェェェ!
アンナの声でリディアも俺の状況に気付いて謝罪した。
そう、俺を膝枕した状態で頭を下げたことで、俺の頭を太腿とポヨンとで挟み込んだのである。
至福のポヨンを感じたが、すぐに上下から俺を焼く音が響いてきた。
「テンマ様ぁーーー!」
ドンッ! バンッ、ゴロゴロ。
よく見えなかったが、アンナが綺麗な蹴りをしたような
ソファから転げ落ちた俺を抱き上げ、最上位の回復魔法を掛けてくれたようだ。すぐに痛みが治まってくる。
俺の耐熱スキルはどこ行ったーーー!
そう思ったと同時に意識を失うのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
目を覚ますとリディアがアンナに説教をされているのが見えた。
「あれほど感情を抑えなさいと言ったでしょ!」
「ごめんなさい!」
「謝って許されると思っているのですか!? あなたは自分の主人であるテンマ様を傷つけたのですよ!」
「ごめんなひゃい、ズズッ」
あ~あ、リディアが泣き始めているよぉ。
まだ、ボーっとする頭で状況を確認する。気を失っていたのはそれほど長い時間ではなかったようだ。リディアは正座して、目は今にも泣きそうなほど涙が溜まっている。
その横から般若のような怒りの表情でアンナはリディアを叱っていたのだ。
「だ、大丈夫だから……」
「テンマ様!」「ご主人さまぁ~。ズズズッ」
ドラ美ちゃんの姿だったら、どんな鼻水になるのかな?
そしてドラゴンの涙は特別な素材にならないかと、変な事を考えていた。
「あ、あぁ、アンナが治療してくれたから俺は大丈夫だよ……」
今回の事は、あれほどリディアの膝枕が危険だと考えていたのに、純粋?なスケベ心が招いた罰だと思うことにする。
「この愚か者はどうしますか? 食材や素材として解体しますか?」
アンナさん、それは恐いですぅ!
まだ会って間もない頃に襲ってきたら、そうするけどね……。もうリディアは従魔だから残酷なことはできないかなぁ。
でも……、ドラゴンのお肉……。
いやいや、それはダメ!
「ま、まあ、リディアに悪気は無かったのなら気にしなくてもいいよ。でも、リディアに膝枕してもらうのは、もう遠慮したいかなぁ」
「待ってくだしゃい! 今回は初体験で興奮しすぎて、ご主人様を思う気持ちが溢れたら、熱気も溢れたんですぅ!」
いやいや、熱気は溢れさせないで……。
「未熟者! あと千年は鍛えてからじゃなければ、膝枕ご褒美は絶対にダメです!」
ちょいちょい、千年経ったら俺は死んでいます……、よね?
しかし、あの焼ける辛さと、極上の感触……、き、危険だぁ。
治療してくれるなら、もう一度ぐらいと考えてしまった。
「テ、テンマ様、よろしかったら私でお口直ししますか?」
おうふ、そ、それはぁーーー!
アンナが少しだけスカートを持ち上げて、恥ずかしそうに俺に聞いてきた。
いやいや、なんでそうなるのぉ~!
俺はジジが一緒に居て欲しいと、心の底から願うのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ルームで落ち着かない夜を過ごし、朝早くから1人で空を飛んでエクス群島に向かう。
帰りは我々だけなので、ドラ美ちゃんに乗って移動する理由も無くなった。昨日あんなことがあったから、何となくドラゴンライダーは止めておこうと思った。アンナは移動中にリディアの調教をすると気合が入っていた。
それに総司令官たちが乗る船の行方を確認しようと思ったのである。
我々が移動中、ダガードに向かう総司令官の乗る船を見つけられなかったのは、ダガードの港ではなく公都に直接戻ろうとしている可能性が高いとダガード子爵が言っていた。
ダガードとエクス群島は船で15日ぐらいかかる。ダガードと公都は船で8日ぐらいである。だから総司令官たちがダガード経由で公都に戻ろうとすると、最低でも23日ぐらい必要だ。それにダガードで宿泊すればさらに日数が増えるだろう。
だがエクス群島から公都に直接向かえば20日あれば余裕で着けるという話だった。
予定では20日ぐらいで交渉の準備をして、総司令官のペニーワースが公都に着く寸前に脅迫、ゲフン……、交渉に行くつもりだったのである。
彼らが直接公都に戻っているとすれば、計画を早める必要がある。
海岸沿いを最速で飛んで公都近くまで行ってから、エクス群島に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
その頃、公都に直接向かっているペニーワースは今回の作戦失敗をどうしようか、必死に考えていた。
冷静に考えれば、味方を置き去りにしたのは問題になる可能性があると心配になる。
しかし、ペニーワースはすぐに無謀な戦闘計画を立てて実行した、ダガード子爵とジカチカ子爵が全て悪いと思い込み始めた。
相手の戦力があれ程なら融和策を選んだのにと、見当違いの考えをするのだった。
「おい、今回の作戦だが、すべてはダガード子爵とジカチカ子爵の交渉失敗と戦闘計画の失敗が原因だ。すぐに船内の意思統一をはかれ!」
ペニーワースは自分の側近たちにそう命令する。側近たちは金や出世を餌に船の大半の兵士たちを抱き込み、その日のうちにジカチカ子爵は拘束されるのであった。
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