いぬ

バブみ道日丿宮組

お題:犬の民話 制限時間:15分

いぬ

「キャンプにいきたい? バカをいうんじゃない」

「キャンプいければ、都市伝説とか調べられるじゃん」

「そのために愛犬を寒い場所に連れてくとか鬼畜すぎるだろ」

「大丈夫だよ、テントの中は温かいしちゃんと服きせる」

「その大丈夫はお前の意見であって愛犬の言葉じゃない。見てみろ」

「しっぽ振って喜んでるけど……? それがどうしたの」

「そうこの愛犬はお前に遊んでもらえると勘違いしてこういう反応をしてる」

「勘違いじゃないよ、一緒に遊びに行くの」

「それはお前が連れてくだけであって、こいつが行きたいわけじゃない」

「だったら、ペットってなんなのよ」

「家畜に近いな。いや、人間の親子関係もそれに近いか」

「父親なのにそんなこと言っちゃっていいの?」

「いいだろう。教育という面ではきちんと相手を理解して、立場を読むことも必要だ。俺が教えられることは少ないがな」

「よくもまぁお母さんはお父さんと結婚したものだよ」

「知的なことを話すところが気に入ったらしいぞ。今はまぁ逆だがね」

「そうね。お父さんがやりたかったことをお母さんが世界中を回って発表してるし」

「論文がうまく行けばよかったんだがね。まぁこの生活も嫌いじゃない。お前の今後をより良いものにするのは大事だ。人様の前にきちんとだせる娘にするってな」

「私は道具じゃないんだよ」

「首輪をつければ道具になるかもな。もっとも俺も家族を家畜というのは多少気が引ける。愛というものを母さんから教えてもらったしな」

「じゃぁ」

「とはいえ、愛犬を連れてくならもう少しきちんと暖を取れる用意をしてけ。ほらこれとかな」

「なにこれ……犬用のホッカイロと靴下と帽子?」

「こないだ夕飯の材料を探すときに見つけてな。散歩ついでにはかせてみたら体温、精神ともに家の中にいるのと同じ状態を保てた」

「ふーん、否定するぐらいなら最初からこれ出してくれればいいのに」

「それは負けた気がするじゃないか。いつだって父さんは勝ち続けていたいんだよ」

「ほんとめんどくさい人だね」

「それだけが取り柄ともいえるさ」

「褒めたわけじゃないんだけどな。じゃーこれで大丈夫だよね?」

「あとは交友関係だが。いつものメンバーか」

「そっ」

「なら問題ない。彼ならばムードメーカーとしても最適だ」

「普通男と一緒のキャンプって怒られない?」

「たしかにな。しかし彼は小さい頃からそれこそ裸の付き合いをしてきた隣人だ」

「そうだね。幼馴染だよ」

「親御さんとも仲良くしてもらってる。今更そこを否定する話はない」

「じゃぁいいんだね」

「あぁいいぞ」

「数分前の否定はなんだったの……」

「だから、建前というやつだ。こちらの連絡は終わった。向こうのお姉さんが付き添いで行ってくれるらしいからあとでお礼をいっておくんだぞ」

「はいはい。あぁもうお父さんがいっぱい出すから散歩行きたがっちゃってるじゃん」

「なに連れてけばいい話だ。毎日の運動は大事だしな」

「はぁ……」

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いぬ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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