さかな
バブみ道日丿宮組
お題:せつない熱帯魚 制限時間:15分
さかな
食用として魚を育てるのは少しめんどくさかった。いつ死ぬのかもわからないし、身をつけてくれるまで時間がかかるしで最終的に屋敷内に工場を作るまでになった。
「お嬢様出荷の準備が整いました」
「はい、じゃぁ手筈通りに」
執事が礼をし離れてく。
私は見送りながら今日出荷される魚を思い浮かべる。食用として始めたはずが、今ではカラフルの熱帯魚を大量生産するようになった。あまりにも量が多いのでお店として外に出荷を始めたぐらいだ。
品種としては食べることを考えて遺伝子組換えしたせいか、一般的に出回らないものがたくさん。
「……食べる人はいないかな」
試食はしたし、食卓に並ぶ機会も多い。
ただ熱帯魚という名は食用として出ることはない。したがって食べられることはない。そう考えると、私の手の中から飛び出してったものは生命を救われたといっても過言ではないかもしれない。うん、そう。そうに違いない。
今では学業の隣に漁業が追加された。学校にいくと地味に噂される。魚臭いとかの侮辱ならいいのだけど、すっごい痛いネーミングをつけられたりしてるようだ。仲がよい友人にもたまに言われたりするけど、凄く嫌だ。
でも、卒業したら工場運営を手伝ってくれるというから少し安心。工場には私を崇めるような執事系列しかおらず、扱いに困ってたところだ。それも後数ヶ月となれば耐えられる。
ただ功績をあげたのは、父親からすると大変嬉しかったらしい。普段しゃべることもないのに、起業する手筈を一瞬にして揃えてくるのだから困ったものだ。
そのおかげで卒業後に嫁ぐ(らしい)という執事内での噂はなくなった。大体社交界に顔をほとんど出してない娘がいきなりそんなところに出てどうするんだという話だ。
兄や姉のようにもう少し外見が良ければよかったのだけど、私はかなり引きこもりがち。友人を家に招くことはあっても行くことはなかった。
まぁ……行くとなると執事同席という酷く気まずい空気になるのだから良かったといえばよかったのかもしれない。
これからはそれを当たり前として外にでなくちゃいけない。自分のことは自分でする。そんな当たり前を当たり前としてやらなきゃほんとうに嫁がされる状態になるだろう。
なら、私は屋敷からまずは工場を移動しなければいけない。その過程で食用として売れるみらいももしかしたらあるかもしれないし。
「……ふぅ」
とりあえずは学校の宿題を終わらせなくては。
さかな バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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