課題
バブみ道日丿宮組
お題:免れた俺 制限時間:15分
課題
約束をしたのは13時。
「……」
今の時刻は14時。既に1時間過ぎてる。相手にメッセージを送れば『もう少しだから』という簡単なものが返ってくるばかりでどこらへんにいるのか見当もつかない。
だいたいもう少しというのはどこからが少しなんだ? 隣駅はちょっととか?
「はぁ……」
わからないが、待つしか選択肢はない。
待てば相手はやってくるし、帰れば現れない。
「ーーめーん!」
聞き慣れた声に振り向けば、彼女が一生懸命こっちに向かってくるのが見えた。親切心からなのか、公園にいる他の客が避けてくれてる。
「ご、ごめんね……」
たどり着いた彼女は肩で息をしながら、謝罪する。
「今回デートするのはお前の課題のためなんだぞ? 本来俺は罰則なかったんだからな」
「はは、ははは……めんぼくない……」
彼女の息が整うの待って、目的地へと足を進めた。
「あの教授が好きなのは俺が知ってるからすぐ資料は集まるとは思うが、そこから文章作るのはお前だからな。さすがに俺が考えたらすぐバレる」
「先生のお気に入りだものね」
お気に入りだから厄介事を押し付けられたような気もする。
本来であれば彼女も試験免除であったはずなのに、追加課題を彼女だけが出された。しかもそれは俺を見ながら言ってたし、俺への課題でもあるんだろうな。
そう考えると……罰則ともいえる。
「まぁいいか。都市伝説まとめるのは好きだからな」
「それだけでお金稼いでるんだものね」
凄いよと尊敬の眼差しを彼女は向けてくる。
「軽く10年ぐらい集めてたからな。それだけの経験だよ。誰でもそのくらいやれば自然と知識も文章力もつく」
「そんなコトないと思うな。私ホラー小説よく読むけど、怖い話を思いつかないよ?」
「それは想像に支配されてないからだ」
例えばと、俺はスマホを取り出す。
「このスマホが異界と繋がってるとしたらどうする?」
「どうするって……怖いから壊すかな?」
えへへと笑う彼女は可愛かったが、そうじゃない。
「そこで思考してしまうからいけない。俺だったらそうだな。手とか出てくるとか、知らない人の名前が出てくるとか、何かを入れるとそれが消滅するとか、いろいろ想像が頭を埋め尽くす」
へぇと彼女は相槌を打ち。
「その想像が出てこないかな」
嘆いた。
「なら感性に身を任せてみればいい。そこから自然と物が出てくる。人間は考える動物である前にただの電気信号のでかぶつだ」
「電気信号か……スタンガンとか浴びたらなにか浮かぶかな?」
唸る彼女の頭を撫でると、
「そうやって想像の世界に入るのもいいだろう。おすすめはしないがな」
「もう! 髪の毛セットしたのにぐちゃぐちゃになっちゃったじゃない!」
悪い悪いと暴れる彼女の頭をさらにぐちゃり、俺は手を結んだ。
「なんにしても資料を見て書くことは誰でもできることだ」
から、と。
課題 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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