第10話 ドライブ

 25年以上前の話です。


 その当時は都心部に24時間営業のコンビニが所々にありましたが少し離れるとコンビニまで車で1時間以上かかる事は普通でした。

 その時に利用するのがドライブインでトイレと自販機が完備され、夜はトラックなどの車が仮眠する時に使っていました。


 友達3人と片道4時間位かかるB市に遊びに行きました。

 夜ご飯を食べてからB市を出たのが、夜の8時を過ぎていたと思います。

 車が走っていなかったので順調に進んでおり、後40分位で到着する場所にあるとライブインで休憩をとりました。

 時間は夜の11時を少し過ぎていたと思います。


「トイレ休憩です」


 2時間以上座りっぱなしで少し歩きたい気分だったから休憩を取る事にしました。。


「俺、トイレ行く。

 クラさんは何か飲みますか」


「お茶があるからいいや」


 友達のテツはトイレに行って、10分位で知らない女性と帰って来ました。

 女性は髪が肩より長く服装は地味な色のワンピースを着ていました。


「クラさん、彼女を一緒に乗せてもらってもいいですか?

 タクシーが来なくて困っているみたいなんですよ」


「A市のコンビニまで乗せていただけたら、タクシーで家まで帰りますので」


 女性は少し困った様に笑っていました。

 コンビニまでなら問題がないと思い、一緒にA市へ帰る事にしました。

 後ろの席にテツと彼女を乗せると助手席に座っている友達のミタを含めて、楽しそうに話しています。

 気になって、車の中のミラーで彼女を見ると彼女がいません。

 気になって、チラチラとミラーで確認を行いますが映っているのはテツだけでした。

 ドライブインから赤信号で止っていなかったので、女性が降りる事はありません。

 でも、女性と友達の声はします。


 寒気とか恐怖は感じませんでした。

 会話も今流行りの音楽やお店で女性は楽しそうに話をしています。

 本当に普通の会話でした。


 何分間、走ったのだろう。

 信号が赤になり、車を停めました。


 助手席のミタの手に触れるとこっちを不思議そうに見ました。

 車の中のミラーを動かして、女性が見える位置に変えると鏡を見たミタは目が見開いたままでこっちを見返した。


「A市に着いているので、どこのコンビニでもいいですか?」


 ミタがミラーを見ている事を確認してから、女性に話しかけた。


「はい。

 コンビニでタクシーを呼んで帰ります」


 女性の声が聞こえ、後ろでテツと話が始まりました。

 助手席のミタは置き物の様に身体を硬直させて前だけを見ています。


 それから直ぐにコンビニへ着きました。

 後ろを振り返ると女性が座っており、自分で車のドアを開けて降りようとしています。


「クラさん、飲み物を買って来ますよ」


「もう遅いし、帰ろうよ」


 テツが言った言葉を遮る様にミタが言った。

 女性の声がすると運転席の窓の横に立っていた。


「ありがとうございます。

 やっと自分の家に帰れます」


 そう言うと女性はコンビニの方へ歩いて行きました。

 少し目で追うとそのまま車を走らせて、1番近いミタのアパートへ行きました。

 今日の事をテツに伝えましたがテツは真実る事はありませんでした。


 あの時の彼女は幽霊だったのか思い出す事があります。

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