第41掘:白熱

白熱



side:リエル



さあ、ダンジョン運営も半ば。

正直、自分達の手で村や街なんて、作れるとは思っていなかったんだけど。

ユキさんの、ダンジョンマスターの能力があれば、本当に僕達九人で、ほとんどの作業ができてしまう。

現在の状況を書き記した紙を見る。



ダンジョン村(名前未定) リエル候補:ユキと愉快な仲間たち村


階層詳細

・最初に全体的な土地購入で四方20km 今後の増減もあり。

 1700DP 1kmにつき100DP 年間維持費170DP 1kmにつき10DP 

・1階層を防衛層へ四方5km ベースは草原、2階層までの道は舗装済み。

 天候の追加(朝と夜)

 500DP 年間維持費50DP

・2階層を最終防衛ライン層へ四方10km 軍駐屯、塹壕、鉄条網、検問など。

 ベースは荒野。※ユキ的にはトーチカも置きたいのだがDP不足一個につき10万DP

 天候の追加(朝と夜)

 500DP 年間維持費50DP

・3階層を居住区へ四方10km ベースは現代日本風。自重などしない。

 天候の追加(四季)

 5000DP 年間維持費500DP

 自然やその他など

 1000DP 年間維持費100DP

・4階層を農業区と工業区、仕事場へ。四方20㎞ ベースは草原と林。

 天候の追加(晴れと雨)

 2000DP 年間維持費200DP

 畑色々、農業区(ラビリス達に聞いたこの地方の畑と、ユキのおすすめ畑)

 4000DP 年間維持なし 一回収穫後、自分達で育てていく。

 鍛冶場、工業区(この関連はさっぱりなので適当に…フィーリア小さいし)

 10000DP 年間維持費1000DP 

・5階層を冒険者区、娯楽区、レジャー区 小ダンジョンを設備予定。 

 四方20㎞ ベースは草原。

 天候の追加(四季)

 5000DP 年間維持費500DP

・新フロア作成

 4・5階層の追加で600DP 1階層につき300DP


小計 40600DP 年間維持費2600DP


移住者家屋の詳細 ※なお住める人数はユキの普通(現代日本)で数えています。

・家屋一軒家20軒(最大六人ぐらい住める)予定収容数100人程  

 10000DP 一軒あたり500DP 年間維持費1000DP 

・アパート15棟 一棟につき10室(長屋?最大四人ぐらい)予定収容数600人程

 15000DP 一棟あたり1000DP 年間維持費1500DP

・集団訓練施設2棟 一棟に約300人収容可能な場所 個室に、集団部屋多数。

 15000DP 一棟あたり7500DP 年間維持費1500DP

・軍部駐屯所1棟 一棟に約200人収容可能 訓練設備も含む 

 ※これも現代日本の設備を基準。セラリア達には半分以上用途不明。

 50000DP 年間維持費5000DP ※ユキ趣味の銃器も備品として組み込み済み


小計 90000DP 年間維持費9000DP  ※全家屋に風呂・トイレ込みの価格


食料品・消耗品・商店の商品

・食料品 絶対必要値5年は3食を食わせられる。 約400人分

 30000DP 肉・野菜・スープ 居住者が生きていくための必要最低限。

・嗜好品食料 商品予定

 30000DP カップラーメン・お菓子・デザート・酒など…

・消耗品 絶対必要値

 20000DP 衣類・トイレットペーパー・コピー用紙・ファイル・ペンなど…

・嗜好品消耗品 商品予定

 30000DP 趣味衣類・シャンプー・リンス・石鹸・香水など…

・冒険者用商店商品

 50000DP 武具・武具の整備・ポーション・道具一式など…

・警備用の武具

 10000DP スタンガンみたいなの?・鎧・制服など…

・教育用教材

 10000DP ホワイトボード・ペン・必要道具など…

・ユキのモンスター部隊増強物資。銃器、車etc…

 100000DP ※拳銃で最低300DP、車の乗用車で1500DPから。

 ※なお、魔力での個人認証が必要なので奪われても使用できない。

 ※現在、ゴブリンアーミー、スライムアーミーが銃器・自動車訓練中。


小計 280000DP


その他施設の詳細

・商店店舗の設営 系列をラッツカンパニーで統一。 管理者ラッツで決定。

 3・4・5階層に最低2店舗ずつ予定。

 10000DP 予算 店舗のみなんで足りる。

・娯楽施設の設営

 酒場、旅館、宿屋、銭湯など…

 20000DP 予算 ぎりぎり足りるんじゃね?

・学校

 5000DP 予算 そんなに子供いないだろうし、十分じゃね?


合計 445300DP 年間維持費11570DP


あと小ダンジョン設営費・ギルド設営費

・小ダンジョン5個 

 25000DP 予算配分一個につき5000DP

・ダンジョンコア5個

 25000DP コア一個5000DP 

 いらないけど、ダンジョン維持に気合が入るように渡してる。

 一応コア奪われたら、小ダンジョン運営失敗。コア没収。

 なお、ここで手に入ったDPはダンジョン作ったメンバーで自由使用可能。


合計 50000DP 維持費予算でやりくりしろや


本合計 495300DP 年間維持費11570DP

残    22304DP 年間維持費1年分しかねぇ


色々、ユキさんのコメントがのっていますが。

しっかり詳細を書いてて僕でもわかりやすい。

でも…。


「「「モンスター部隊増強物資減らしてください」」」


エリス、ラッツ、ミリーに速攻で突き上げ食らっていました。


「ちょ、いきなり!? ナイスな配分じゃね!?」

「この銃器というのが分かりませんが。トラップでほぼ軍の対応が可能なのに、なんの武器がいるんですか?」

「うっ」


エリスの鋭い指摘が飛びます。


「お兄さんの、希望を通してあげたいのは山々ですが。10万DPもこれにつぎ込むのは無しです!! せめて3万DPでどうにかしてください」

「半分以下ですか!?」


ラッツにあっさり半分以下のDPまで削られます。


「申し訳ないですが。せめて3年…なにも収入なくても、やっていけるDPは必要だと思うんですよ」

「…その通りだと思います」


ミリーが申し訳なさそうに、理由を告げる。

ユキさんもわかっているのか、あっさり引きます。

なんだろう、ダメだってのを理解してたみたい?


「ねえ、みんな。これから決めるのはなに? もうこの「階層詳細」や「移住者家屋」やはもう作り終えてるよね? 無いのなら、僕は軍駐屯所の訓練施設で色々やってみたいんだけど?」


僕はそう思って話をする。


「リエル。甘いですね。ここで初めて食べたアイスクリームよりも甘いです。これから、ここで決めるのは…」


ラッツがミリーに目を配る。


「嗜好品の物資を、何を、どれだけ、入れるか決めるのよ!!」


ミリーが拳を空へ掲げる。いや天井あるけど。


「まあ、分かりやすく言えば…そうですね。リエルの好きな魚料理を増やすとか、変な武器を仕入れるかを、考える場所なんですよ」


エリスが苦笑いしながら、僕にわかりやすく説明してくれる。


「その、嗜好品の値段を考えることもな」


最後にユキさんが付け加えます。


「なんですと…!? それじゃ、あの八方手裏剣を仕入れてよ!! あれ、もっと欲しいんだ!! 銅貨1枚ぐらいで!! 小太刀も同じぐらいで!!」


僕は、ここにきてユキさんが出してくれる。

日本?の武器をもらって、そのすごさを実感している。

手裏剣とか、僕の趣味に断然あってる。手投げで矢みたいにダメージ与えられるし、小太刀や刀って物凄い切れ味なんだから!!

それが、販売すればきっと流行るよ!!安くすればなお!!


「ばっかですか!! いったい手裏剣や小太刀が幾らすると思ってるんですか!! 手裏剣一個50DPですよ。小太刀、刀に至っては最低で500DPです。それを銅貨1枚で販売とか舐めてますか?」

「ひっ!?」


ラッツが物凄い勢いで怒ってきた…。

なんで、そんなに怒るんだよ~。


「まあまあ、ラッツ落ち着いて。そうですね、リエル。貴方が冒険者時代、一日幾らぐらい稼いでましたか?」

「え、なにいきなり? え~と、多くて銀貨5枚。少なくて銅貨7枚ぐらいだったな? これでも僕凄かったんだよ!! 一日で銀貨5枚!! 金貨まであと半分を一日で稼いでたんだから!! 金貨1枚は4人一家が一か月過ごせるぐらいだからね」


撲は当時の稼ぎを自信満々で言いました。


「ほぉ。リエルの嬢ちゃん、訓練に付き合ったとき、なかなかヤルと思ったがしっかり稼いでたんだな。ランクは…そうだな5いや6か?」

「おお、守りの英雄は流石だね!! 僕はランク6だったよ。まあモーブさんはランク8なんだけどね」

「そりゃな。それまでしっかり、やってたからな。流石にリエルの嬢ちゃんに抜かれるほど柔じゃねーよ」


モーブさんが、楽しそうに話しかけてきます。

この場ではあまり僕は出番がないから、もっぱらモーブさん達とのんびり雑談が多いのです。

そして、昨日。訓練所ができたのでモーブさん達、トーリ、カヤと晩御飯までずっと訓練してました。


「リエル、お話し中すいませんが。普通の一般人が一日で稼げる額は銅貨2~4枚です。DPは一時間で一般人から1DP。つまり、一日で24DPもらえるというわけです」

「うん。それは分かるよ」

「リエルは思ったより稼げるようだけど。それでも、最低一日銅貨7枚=24DPとなるとしましょう」


エリスがホワイトボードに歩いて、さっきいった事を書き込んでいきます。


「手裏剣でしたっけ? リエルが欲しいと言ったのは50DP。つまりリエルが二日は働かないと手に入らないわけです。小太刀や刀は500DP二十日分。それを、銅貨1枚で販売していくと、あっという間にDPが尽きてしまいます。わかりますか?」

「うん。ラッツ考えなしでごめん。ちょっと舞い上がっちゃった」

「いえ、私も怒鳴ってすいませんでした。しかし、リエルの話でDPの換金率が大体わかりましたね」

「ええ、大体24DPで銅貨5枚前後と言ったところでしょうか? 物よっては、色々上下させる必要はあるでしょうが」


そういってエリスとラッツが話をしていく。

僕はちょっと涙目でしゅんとしていた。

やっぱり、僕はあまり役にたたないな。


「リエル、落ち込むな。しっかりお前は大事な事を言ったぞ。おかげで色々話が進むだろう」


撲の頭をユキさんが撫でてくれます。


「僕のいったこと。役に立つんですか?」

「おう、リエルが言った変な武器は、ある意味ここの特産になるだろうからな。お金とDPの大体の価値もわかったしな。お手柄だ」


そうやって、ユキさんと話していると…。


「ふふふ、エリス、ラッツ。DPの価値が、大体分かったのならば、私から提案があるわ!!」


みんなの視線を集める様に、大きな声で話し合ってる二人に声をかけます。


「なんですかミリー?」

「どんな提案ですか?」


エリスとラッツがほぼ同時にミリーに聞き返す。


「5000DPをつぎ込んで、超高級品のロマネコンテ○や、バランタイン○年などを入れるべきよ!! それで、きっと住人はそれを目標にしっかり働くわ!!」

「「黙れ、この飲んだくれ!!」」


何かミリーがお酒に暴走してるみたい。

いくら私でも。5000DPつぎ込むのがどれだけ馬鹿か、さっきの会話からわかる。


「ラッツさん。これが欲しいです!!」


その言い合いの中。アスリンがトテトテとコピー用紙を持ってラッツに渡します。


「アイスクリーム・ポテトチップス・チョコレート……ミリーこういう、純粋な心はないんですかね?」

「ぬぐぐぐ…アスリン!! 美味しいお酒飲みたいわよね!!」

「ふぇ!?」

「ええい、いい加減にしなさい!! アスリンちゃん、こっちに来てください。その女は只の酒狂いです!!」


なんだか白熱してるな~。

でも、アスリンみたいに欲しいものは書いてまとめれば、ラッツもわかりやすいかな?

そう思ってコピー用紙に書き留めようとすると…。


「あの!! 聞いてもらえますか!!」


今までずっと黙っていた聖女様達が発言してきました。


「…なんですか? 不満でも?」


ミリーが冷たい目で睨み付けます。僕は仕方のない事だとおもっているけど。

彼女はそうはいかないんだろうな。カヤも同じみたいだし。


「はい。先日言ってもらった治療施設・警備施設の予算が組まれていませんので、ご再考をお願いします」


…今気が付いた。さっきから喋ってるのは、ルルア様だ。

今まではエルジュ様ばかりだったのに、なんか心境の変化でもあったのかな?

でもそんな事を考える間もなく。


「あっ、忘れてた。すまん予算入れるわ」

「お兄さんの減らした枠から当てましょう」

「ひど!?」


そして、嗜好品の主張でこの会議はあふれていく。


「と、僕も好きなモノ書いていかないと!!」

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