必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない

雪だるま弐式

プロローグ お断りします

プロローグ お断りします



特に現在の日本に不満はない。

別に仕事場がブラックだということもない。

嫁さんとか娘がいるわけでもない。

だが世の中を儚んでもいない。

テレビ見て新作のゲームして小説読んで風呂入って飯食っての毎日、学生を過ぎたが学生時代に戻りたいとも特に思わない。

ここは色々意見があるだろう「学生のほうがいい!!」という人も多数あるだろう。

しかしよく考えるんだ、自分たちが学生の時代はそこまで自由だったか?

学業に追われ、自分の自由にできるお金はすくないし親の様子をうかがわないといけない。

あ、親が他界とかしてる人はごめんよ。別に親が邪魔とかいう話ではない。

成人して親からの支援を受けなくなり自分で生きていく、俺は楽しかった。生きているという実感があった。


何が言いたいかっていうと……。


「俺は現状に満足してる」


だから今住んでいるアパートの玄関に訪問している人にハッキリ言える。


「あ、宗教とか興味ないんで、家族の推してるところに入ってるんで」


大体の人がそうじゃね? わざわざ自分で新手の新興宗教探して入るとかなかなかないだろ。気が付いたら親にその宗教にいれられてたーってやつ。

ま、そんな感じでお断りを入れてドアを閉じようとするが。


「ま、まってください! も、もう少しお話を聞いていただけませんか!?」


そうやって閉じようとするドアに手を入れて止めてくる。

さすがに手を挟むのを承知で閉めるほど俺は鬼じゃない。

だが、いきなりドアを開けてすぐ


「ダンジョンの運営に興味はありませんか? 今なら女神様の加護とサポート付きですよ!!」


なんて言うスーツを着た金髪美人がいたら誰だって俺と同じ行動をとるだろう。「あなたに一目惚れしました」とかならまだ一万歩譲って我が家に押しかけてきたという言い分はみとめよう。

いや、一万歩って言ってるから認めないとの同義だがな。

宗教関係ねえじゃんとか思う人は聞いてくれ、いきなりこんな運営とか金の絡むこと言うやつに反応するのは間違いだと自分はおもっている。

いいか、この手合いはわけのわからないことを言ってとりあえず「話を聞かせる」のが目的だ。だから詳細を聞いたり「運営に興味ないんで」って返すと確実に「大丈夫です!! 我々がサポートします!!」といって確実に長時間泥沼になってしまう。

じゃ、仕事があるんでとか、急用があるんで、なんて濁す言葉は逆に相手を引っ張ることになる。

だから俺はわざと聞き間違えてドアを閉める方法をとった。ちなみに相手が美人さんじゃなかったら即時締め出してインターホンの電源落とす。

まあ訪問関連のお断り方は、各家庭でいろいろあるだろう。


でだ、手を入れてきて話を聞かせようとするこの美人さんを俺はもう美人さんとか女性認定をしない。

どこかのドラマとかラノベとか漫画だとかそんなフラグを建ててやるほど俺は甘くはない。


「わかりました、危ないですから手をはなしてください」


そう言ってドアを開け放つ(ここ重要だから)そうすると手を放して相手はドアは広がり切るのを待つために後方下がる。

ですぐに閉める。完璧。


「え? ええ!? ええ~~!!」


鍵をかけてさらにインターホンを無効化、即時部屋に後退して現在していたゲームの音量は自分が聞くに堪える大きさまで上げる。

え、鬼の所業だって? そういう人たちはちゃんと話を聞いてやるといい、長時間時間を無駄にしたうえ詐欺まがいの投資をするといい。

ここでずっと騒がれたらどうするのかというのもあるだろう、心配するな、現実は非情。お巡りさん呼んで終わりです。


結局、相手は閉められた時点で諦めたのか、騒ぐようなことはなくすぐに去ったようだ。

ゲームの音量を下げて今日の休日を満喫しよう。


「ふざけるんじゃないわよ!!」


突然画面を遮りさっきの美人さんが出現した。

そして俺のしているゲームはリアルタイムアクションRPGでスタートボタンで止めることも叶わない。そして即死万歳のボス戦の真っ最中で…すぐに美人さんを避けて画面を見るが一瞬の判断遅れが命取りで自分のキャラはやられていた。


…心がおれそうだ…


「ふざけてるのはあんただろうが!!」


当然俺はキレましたよ。しかし俺は冷静でした。即時にスマホを引っ掴んで…110番コール…あ、つながった。


「警察ですか? 自宅にしらない人が侵入しているんですが…はい…住所は…」

「あ!? 待ちなさい!! 誤解だから!!」


美人さんは俺の行動をようやく理解したのか即座にスマホに手を差し込んで通話を切る。


「誤解もなにも、不法侵入ですがね」


再度110番コー…邪魔された。


「こいつ、手ごわいわ…。なるほど、これならいけそうね…」


なにかブツブツ言っているが、いや、普通の対応だからな。今の所業を日本国民に見てもらって対応が間違っているとは言われない自信が90%はある。なにごとも100%はないのよ…


そしてその美人さんはこちらに手を向けてきて。


「あっちで説明するわ!!」


閃光が俺を覆った…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る