025

「あらやだ、芽生ちゃんもう酔ったの?」


戻ってきたママが私の顔を見るなり驚いた声を出す。それほどまでに、私の頬は真っ赤に染まっていたからだ。


「酔いました~。日下さんがかっこよすぎるので……」


どうにも恥ずかしくなり、両手で顔を覆う。思った以上に頬が熱を帯びていた。


「あらー、暁ちゃんの魅力に気づいちゃった?アタシのライバルね!」


「ライバル?」


「アタシも暁ちゃん狙いなの。負けないわよ!」


「えっそうなの?私もママみたいにアタシとか言ったらいいかな?」


「はあ?アンタ、アタシのことディスってるわけ?」


「えっ、違います違います!」


「このド天然が!」


唾が飛ぶほどの剣幕でママに叫ばれ私は弁解しながら小さくなる。二人で小競り合いをしていると、急に日下さんが吹き出した。


「ぷっ、はははっ」


口元を押さえて可笑しそうに笑う日下さんに、ママと二人顔を見合わせる。

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