刺草

この夏も 柔らかなところを火傷して

拾った桜貝は 粉々になる

潮の味を噛みながら 窓を開けて

うだる暑さが まだまだ続くことを知る


うまく結べぬ音が散らばって 

苛立ちが諦めに変わる

君は品よく欲情しており

それに流されることを良しとして

抜け殻をふたつ 窓辺に飾る


外は刺草の海

朝になれば甘やかに濡れる葉のかげで

跡形もなく潰されていようとも


夏が このまま続いていくことだけを望む

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