5月の事件

緑のキツネ

第1話 火事!?

いつもは孤独な夜にサイレンが鳴り響いた。

私は友達の梨花の家に遊びに行っていた。

時刻は5時。そろそろ帰ろうと思っていた。

「じゃあそろそろ帰るわ」

「分かった」

「バイバイ」

私は梨花の家を出た。

梨花の家と私の家は歩いて10分くらいのところに

あるから、毎週日曜日は遊ぶ約束をしたり、

勉強をすることが多かった。

歩いて帰っていると、消防車を3台ぐらい見かけた。

どこかで火事が起こったのか。

私の家が見えてきた。

その時、私の足は止まった。

まるで時が止まったかのように。

火事が起こっていたのは私の家だった。

それも、横の家にまで広がっていた。

お母さん!?お父さん!?

安否が不安になり、急いで家に向かった。

少し疲れてきたがそんなことは関係ない。

ただ家族のことだけを考えて走った。

「おかあさーん」

「お父さーん」

しかし、声は無かった。

私が、家の中に入ろうとすると、警察が止めてきた。

涙がこぼれ落ちた。

「何も親孝行出来なかった」

泣いても何も始まらないのに。

膝から崩れ落ちていると、

空から1枚の紙が落ちてきた。

警察は火事に夢中で気づいていなかった。

私はその紙をとって広げてみると、

謎の言葉が書いてあった。




🔥えい




裏を見てみると、また言葉が書いてあった。




もし、このことを警察に言ったら

お前を殺しに行く。

この謎を解き明かし、私の元に来い。

制限時間は今から明日の24時までだ。

明日を過ぎると私は飛行機で海外に逃げる。

私の元まで来てみなさい。

健闘を祈る。



ヒントは火事から人を救うことだ。

                犯人Xより



犯人からの謎解きゲームっていうことか。

私は考えたが、何も分からなかった。

そうだ。謎解きクラブに聞いてみよう。

そのあと、警察に保護された。


次の日、私はこっそり警察署を抜け出して、

学校に向かった。私の学校はこの警察署から

歩いて20分ぐらいでつく。私は全力で走った。

何も持ったないから足取りが軽く感じる。

気がつくと、私の高校についていた。

門には金木犀と桜がある。

今は、秋だから金木犀が咲いていて、

とてもいい香りがする。

昨日のことを忘れることが出来るような気がしたが、

無理だった。鮮明に蘇る記憶。記憶を振り払いながら

門を通り抜けた。大きなメタセコイアが見えてきた。

私は玄関に入り、深呼吸をした。

教室に入り、部長を探した。

部長は晴人。学校偏差値が69で校内順位1位だ。

晴人と私は昔からの幼なじみで、

いつも謎を出し合っていたが、

晴人は秒で解いてしまい、私は泣いていた。

高校に入り、私と晴人は同じ謎解きクラブに入った。

謎解きクラブには4人いる。

少しバカだけど発想が良い葵と

全然解けないけど、ムードメーカーの優心。

教室に入り、「晴人!!」と叫んだ。

「なんだよ。朝からうるせぇな」

「これなんだけど」

私は早速、謎を出した。

「おおー。作ってきたのか?」

「いや。犯人からの謎」

私は昨日あったことを全て話した。

「じゃあ放課後に謎解きクラブで考えよう」

「うん」

チャイムが鳴り、咲月先生が入ってきた。

咲月先生は英語の先生であり、このクラスの担任だ。

そして、後ろにいるのが副担任の水木先生だ。

皆と仲が良い理科の先生だ。

「みなさん。おはようございます

今日は特に連絡することはありません。

もうすぐ受験生です。

みなさん、一身同体という四字熟語を

知ってますか?」

黒板に一身同体と書いた。

「このクラスも一身同体で頑張りましょう。

号令お願いします」

「気をつけ、礼」

「ありがとうございました」

ホームルームが終わり、咲月先生に話に言った。

「先生、あのー」

「どうしたんですか?何も持って無いよう

ですけど?」

「昨日、火事が起きて全部燃えたんです」

「そうなんですか。なら、もう帰ってください。」

「何で。そんなこと言うんですか?」

「何も持ってきて無い人に、授業を受ける資格はありません」

「わかりました」

「水木先生に聞いてみます」

「待って!水木先生はやめた方がいいよ」

私は諦めて、水木先生に話すことにした。

「水木先生、あのー」

「またですか?何のようですか?」

私は水木先生にいつも迷惑をかけている。

昨日は理科の教科書を忘れて。

一昨日はタメ口を使って怒られて。

「昨日火事が起きて何も持ってないので、

教科書を貸してもらえませんか?」

「良いですよ」

「ありがとうございます」

水木先生は色んな先生のところに話してくれて

どうにか教科書を揃えることができた。

授業が全て終わり、部活に向かった。

部室にはすでに全員そろっていた。

「みんなー聞いてくれ」

部長が話し始めたと同時に紙を机の上に出した。

「昨日、友理の家で火事が起こったらしい。

それも、犯人がいるらしくて、その犯人から

僕たちへの挑戦状だ。

皆で解いて、犯人を突き止めるぞ。」

「OK」

「任せてよ」




🔥えい





ヒントは火事から人を救うこと。

「火事から人を救う……」

さすがの部長も苦労していると思った時、

「分かった」

大声で叫んだ。

やっぱり晴人はすげえわ。

私は晴人にずっと憧れていた。

「なあなあ、晴人。教えてくれよ」

優心が晴人に聞いた。

「これは、火事から人を助けるために何をするかだ」

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