第25杯 温度差 下

 あるカフェで彼女から一方的に別れ話を切り出された。

 突然の事に俺は驚く。

 間の抜けた顔をした俺を尻目に、彼女は足早に店を後にした。

 残されたのは、呆然と座る俺と珈琲が入ったマグカップが二つ。

 どれくらい時間が経ったのか分からないが、俺は冷静を取り戻し、やっとマグカップに手を掛け珈琲を一口飲んだ。

 ホットで頼んだそれはいつの間にか、熱を失っていた。

 ……まるで僕に対する彼女の心の中の様だった。

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