第4話
そもそも、この女勇者ローラは勇者パーティー結成時に
「君こそ!私のマイスイートハニーだ!クレア!」
と、パーティーの初の顔合わせの際に堂々と宣言したのである。
それからというもの、ローラはやたらベタベタとクレアにまとわりつくようになった。当然その度にローズのイライラが溜まり、2人を引き離すのに躍起になったり、時には魔法で強制的に引き離す事もした。ローズとクレアがお互い一目惚れしたのに、なかなか恋人の関係に至らなかった要因がここにあった。
が、パーティー結成から約1年後にとある事件をきっかけに2人はお互い愛し合ってる事が分かり、2人はようやく恋人となり、すぐに恋人になった証としてキスした所をローラに目撃されてしまう。
「よくも!私のマイスイートハニーのクレアを!ローズ!私のマイスイートハニーのクレアをかけて決闘だッ!!」
ローラはローズにクレアをかけた決闘を申し込んできた。ローズは自分が勝ったら今後一切クレアにちょっかいを出さないのを条件に決闘を受け入れ、パーティー唯一の真面目人女騎士のレベッカの制止の言葉を聞かず、2人は決闘を始めた。
その決闘は、魔王討伐時よりも激しく三日三晩続き、決闘場所は2人が攻撃を放った衝撃跡が残る荒地になった。
そんな激しい決闘にもついに決着が着いた。勝利したのは何とローズだった。魔力量がローラよりも勝っていたのが勝敗を決めたのである。ローズにより膝をつかされたローラは
「……約束だ。クレアの事は諦める。今後一切手を出さないと誓う」
ローラのその言葉を聞き、ローズは疲弊状態ながらも、内心でガッツポーズをし、クレアも嬉しそうに微笑んでいたが、次のローラの言葉により2人の表情は絶望に変わる。
「だって!私は真の愛を見つけたのだから!君だ!私を倒した君こそが私のマイスイートハニーだ!ローズ!!」
自分を倒した事でローズに惚れたローラは、その後ひたすらローズを追いかけ回した。
いいお店があってクレアと一緒に出かけた時も、静かな森で2人愛を語らい、その雰囲気のままキスしようとした時も、最後の戦いだから悔いを残したくないからと2人でベッドにGOした時も……
毎回毎回ローラが現れては、恋人同士の逢瀬を邪魔されてきたのである。ローズとクレアが恋人同士の逢瀬を過ごせなかった最大の要因がまさにローラなのである。
「……あんたに気づかれず、ここへと向かう為に様々な仕込みをしたのに……!?何でもうここに来てんのよおぉ……!?」
ローズとクレアはここに来るまで、絶対にローラに邪魔されないように様々な仕掛けをした。
まずは、ローズは自ら作った料理に、勇者も飲めば三日間眠るという強力な睡眠薬を混ぜ食べさせた。
そして、眠りについたローラを確認し2人急いでここに向かい、万が一の為に警備用の上級ゴーレム100体召喚し、クレアがローラのみの侵入を防ぐ結界を張ったのだが……結果はご覧の通りである。
「ふっ、どんな障害があろうとも!私の愛は止まらないのさ!そうだろう!マイスイートハニー!ローズ!」
ローラはそう言って、ローズの顎に手をかけいわゆる顎クイをした。顎クイされたローズは全身に鳥肌が立ち
「気色悪いッ!!!!」
と、叫んで超級魔法をローラに放つ。ローズの魔法を受けてぶっ飛んだローラは
「あ〜れぇ〜!?また来るからねぇ〜!?マイスイートハニー!ローズ!」
という言葉を残して吹っ飛んでいった。ローズはしばしゼェゼェと荒い深呼吸を繰り返したが、やがて大きな重い溜息をついた。その間、クレアは「消毒……!消毒……!」と呟いてローズの顎を重点的に浄化魔法をかけていた。
この後、2人は再びローラ対策を話し合った。また他の地に移る案も考えたが、ローラはどこに行ってもやって来るという結論に至り、結局何の名案も浮かばずに終わり、こんな事考えてる間に恋人らしいイチャイチャをすれば良かったのではという結論に至った瞬間、2人は二重の意味でガックリと項垂れたのだった。
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