「偉いすみません遅れました」


息を切らして急いで部屋に入って来たのは紛れもなく丈一郎やった・・・。



「遅い!大事なお見合いの日やのに」



「仕事でトラブルがあったんや。しゃあないやん親父」



「そのトラブルっちゅうんは解決したんか?」



「俺やし当たり前やろ!」



丈一郎は相変わらずの俺様やねんな。

あの頃と全然変わっとらんわ。


変わったこと言うたら、少し背が伸びて大人の男の魅力が増したところやろか?

あの頃もイケメンやったから女子にモテモテやったけど、今でもモテてそうやな丈一郎は・・・。私とちごうて・・・。



「丈一郎くん久しぶりやね。会社なんともなくてホンマによかったわ」


「おばさんありがとう。でもホンマに遅れてごめんなさい」


「ええんよ。それより、うちの旦那の方が問題なんよ。仕事忙しくて可愛い娘のお見合い出席できへんって言うて欠席するし・・・こっちこそ両親揃ってなくてごめんなぁ・・・」



幸子さちこさん、なに言うてるんや?仕事は大事やで。秀治しゅうじはそう言う奴やし、しゃあないって!それにこっちは俺1人で片親やしなぁ・・・」



幸子と秀治は私の両親のこと。



「太郎さんありがとう。せやけど太郎さん男親1人で丈一郎くん育てるん大変やったんちゃう?仕事と子育ての両立は女のうちでも大変やと思うわ。こんなに素敵な丈一郎くんに育ったんは太郎さんがいたからやな・・・太郎さん立派やわ」



太郎さんとは丈一郎の父親のこと。


そうやった。丈一郎ってお父さんしかおらんかったってことを・・・。

たしか、丈一郎が小学2年の時に交通事故にあって亡くなったそうや・・・。

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