第2話 バイトの中身

「バイトってどんな?死体洗いは嫌だよぅ。」


「なわけないじゃん、ラブホテルの清掃だよ!高校生でもいいってよ」


「まじで!?」


私は親にスーパーのレジをすると噓をついてそのアルバイトに行く事にした。

私の家は父母共に仕事が忙しかったので、あまり干渉されない。

アルバイトの内容を深く聞かれることもなく安堵した。


駅も5つほど離れたさゆりんの家の最寄り駅だったのでバレはしないだろう。


アルバイトを始めてから知ったのだけど、そのバイト先のホテルの社長さんは反社会的勢力の方だったらしい。

このまま続けていたらヤバいことになるかもしれない。。そんな私の不安はすぐに払拭された。


奥さんも社長さんも従業員には優しくて、お正月にはお年玉なんかもくれた。

私には普通の優しいご夫婦に感じられたのだ。


社長夫婦はお子さんに恵まれなかったらしく

受付の綺麗なお姉さんの事を娘のようにかわいがっていて

頂き物のお菓子を持って帰らせたり、買い物に一緒に行ったり

奥さんが毎日車で家まで送り迎えまでしてあげていた。


私たちの他の清掃パートのメンバーは50代から60代のおばちゃんが5~6人。

あとちょっと知的障害のあるお兄さんが一人。

おばちゃん方はみんなタバコを吸うわ、口も悪いし 最初はとんでもない所に来ちまったなぁ、、とさえ思った。

彼女たちは派閥があり、陰でお互いの陰口を言い合っていた。


ホテル清掃の仕事の内容はベットのシーツ交換、机の上の食い散らかした物の片づけ、アメニティの補充やお風呂掃除、部屋の清掃といった結構簡単なものだった。


清掃の場所も担当がおばちゃんたちの中で決まっていて、確執があった。

そこがちょっと笑えた。


「こうゆう所を掃き溜めっていうんだぜ」


なんて得意げにさゆりんに言ってみたりした。


さゆりんは何も言わず笑っていた。



ラブホテルの清掃で驚いたのは、お風呂を洗った後水滴が残らぬように

拭き上げる作業があるのだが、その際にお客が使った後のタオルやシーツを使って拭いていた。

私はパートのおばちゃんに「これってひどくないですか?」と思わず聞いてみた。


「そんなのどこのホテルもやってるよー?」とのことだ。


マジでひどい。。。コップもだよ。。うげげ。


今はどうだか、ほかのホテルもそのようにやってるのかは知らないが、

私はそれからというもの、旅行の宿泊先でもホテルのものは使わないようにしている。








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