詩「雨の隙間に」
有原野分
雨の隙間に
雨 の隙間に出かける
また いつ降るのか
そればかりが 気になって
用事をすっかりと忘れて しまった
自販機の横に放置されている空き缶
その横の排水溝を埋め尽くす吸い殻
雨 の隙間にすれ違う
下校中 の子供たちが
笑いながら通り 去っていく
手も降らず顔も合わせずちらとも 見ず
傘は以前捨ててしまったのだ
故郷へ帰る途中の電車の中に
冬の風に雨が混じるのは
思い出の中に冬が生まれるのと同じで
ある冷たい季節の
失恋に似ている
(そうだ、思い出したよ。そんな季節もあったものだ。尻尾が凍った道路に張りついたあの子猫は今頃どうしているのだろうか
)
雨 に隙間など
本当はな いのかもしれない
いやそうだき っとそれを確認
することが用事だったのかもしれな い
帰ることに躊躇っていたのは、
そこに理由を求めていたからだ。
この偽善者のナルシストが
!
そうだ、
きっとそうだ、
隙間があるのは きっと雨の方
だ 。
詩「雨の隙間に」 有原野分 @yujiarihara
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